「地に堕ちたマイティー・ソー」MORTAL モータル bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
地に堕ちたマイティー・ソー
北欧の神話に登場する雷神『トール』をモチーフにした、SFミステリー。望んでいたわけではないのに、この『トール』の力を授かったばかりに、軍隊やアメリカ政府から狙われる羽目になる男の悲哀な物語。一見、美しい北欧のフィヨルドの街が舞台。しかし、その大自然の中の寒々とした風景が、佇む男の孤立感に浸透していく。
ネットで『トール』を検索すると、『マイティー・ソー』にそっくりなフォルムでビックリ。デカいハンマーを手にして雷を操る様は、正に、『マイティー・ソー』。これは推測だが、『ソー』のモデルは『トール』ではなかったのだろうか…。
物語は、『トール』の雷の力を制御できない男・エリックが、絡まれた若者を殺してしまい、逮捕されるシーンから始まる。エリックをアメリカ政府に引き渡す前に、その男のカウンセリングをする為に、訪れたクリスティーンは、エリックの境遇に同情し、2人して逃亡を謀る。アメリカ政府は、エリックの力を世界情的な危機を招くモノとして、彼の暗殺を指示する。一方エレックは、自分の育った農場を目指し、そこで、彼が『トール』の力を継ぐ者としての秘密を知ったのだが、と同時に、悲しい運命が2人を待っていた。
SFとは言っても、VFXもコテコテの雷シーンと火傷のみで、ハリウッド作品の様な迫力や緊迫感は伝わらなかった。ノルウェーの映画は、あまり鑑賞したことはないが、単なるSFミステリーの内容だけではなく、そこにエリックとクリスティーンのラブ・ストーリーも加味して描くことで、衝撃的なラストシーンを印象付ける。そして、何よりフィヨルドの北欧風景が背景となって、地球規模の美しさが際立つ作品だ。
主役のエリックを演じたナット・ウルフは、アメリカ生まれのなかなかイケメンの俳優。アメリカ映画にも何本か出演しており、シンガー・ソング・ライターとしても活躍している。