「だから断捨離は難しい。」ハッピー・オールド・イヤー はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
だから断捨離は難しい。
これは良作!タイ映画見くびってました。反省してます。
スウェーデン仕込みのミニマルデザイナーのジーンはかつて父親が経営していた楽器修理工房を兼ねた実家をオフィスにするためリフォームを決意する。
まずはこの大量の荷物を処分しなければ。ジーンの断捨離が始まる。期限はたったの1ヶ月。
リフォームに反対する母親と妹に手を貸してくれる兄。黒いゴミ袋に手当たり次第に放り込まれてゆく“ゴミ”。次々と袋の口が結ばれそこかしこに積み上げられてゆく。
リフォームを依頼したのは親友のピンク。そのピンクからの贈り物さえ捨てようとするジーンに「物語は両方が忘れた時に終わる」と諭すピンク。
自分が黒い袋に投げ込んだ物は本当に“ゴミ”なのか。それとも捨ててはいけない“思い出”か。
一度は結んだ袋の口を開いてみると借りたままだった物が多いことに気がつく。まだ終わっていない。ひとつひとつ思い出の品を持ち主に返却してゆくジーン。
そしてかつて自分が“捨てた”恋人エムから渡されたカメラも。
荷物を断捨離することで逆に大切な思い出が増えていくような気がする。
ガランとした部屋の真ん中に違和感のある父のピアノ。捨てるのか。それとも残すのか。自分の未熟さや身勝手さを痛感するジーンが弾くピアノの音色に涙が出た。
前に進むために。自らを貫くジーンのラストカット。切なくて、でも美しかった。
音楽も効果的だしミニマルスタイルの無機質さと生活感のある実家のギャップも良かったです。あとエムがめちゃイケメン。でも私はちょっと頼りなさげなお兄ちゃんが好きです。なんたって優しさ無限大😊
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