劇場公開日 2020年12月11日

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「心の痛みは成長の劇薬」ハッピー・オールド・イヤー JJJJJさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0心の痛みは成長の劇薬

2020年12月20日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

 ミニマリストに憧れる主人公が断捨離を通じて物だけでなく、過去の恋人や離別した父との蟠りまでをも断ち切り、成長していく姿を描く物語。

 「過去を捨てて前を見る」的な"ミニマリストの信条''に忠実になろうとするも、それとは相反する感情が芽生え、その想いに揺れる主人公の姿がとてもリアル。
「ごめんなさい」が言えなかったり、対話する勇気がなかったりで中途半端に終わらせた人間関係は誰もが心当たりあるはず。蓋をしてきた蟠りと向き合うことで自己嫌悪に陥るジーンの姿を見ていると辛くなり、そして彼女のストーリーが進んでいく様子に勇気をもらった。
 ジーンのとった行動は一方的で、自分勝手だと非難されるだりろう。実際エムからは「君が謝ることに腹が立った。僕は許すしかないじゃないか」と顰蹙を買い、母親には離別した父親の存在を思い出させ苦しませた。当然、ジーン自身も痛みを伴う負う結果となった。しかし、この痛みはジーンの感性をアップデートさせる彼女自身が生み出した劇薬なんだと思う。私はジミーが取った行動を肯定したいし、私自身、自分の気持ちに素直でありたいと思った。

 ストーリーの感想はこれくらいにして最後に演出の感想を…。

 画面構築はキレイに整えられていて、デザイナーというジーンの職業と繊細な心にマッチしている。
ゴミ回収のバイクを追いかけるシーンで浮かんでいる霧は、ジーンの気持ちを嫌味なく伝えてくれている。
ジーンのファッションはミニマリストらしいシンプルなコーデではあるものの、毎回デザインの異なる服を着ていて飽きさせない。
音楽はストーリーの邪魔をせず、場面ごとの感情を観客に優しく示してくれる。

ストーリーも演出も見ている人を素の気持ちにさせてくれる素敵な映画だと思います。

チェザーレ