「これ好きだ。」ハッピー・オールド・イヤー よしさんの映画レビュー(感想・評価)
これ好きだ。
感情の置き方がすごくいいなぁ。最善の捨て方って?タイの門脇麦が断捨離するアート系ドラマ。ミニマル主義は仏教に通じる、らしい。だから運命的な"ときめき"を感じるもの以外は捨てていこうとする…けど、感情が絡むと複雑になる。それぞれ《捨て方》と章付けされた断捨離のステップが進むほど、主人公が段々とそれとは相反する・掛け離れたことをしていくのが印象的だったし、家族を捨てた父の残していった場所を取るけど捨てられないピアノという小物使いも良かった。作品を包む空気感も良かったけど、それ以上にそれらによって紡がれていくメッセージが素直に刺さって見入ってしまった。
感情の揺れ動きや葛藤の描写が丁寧で、その流れがすごく自然だから、ごくごく自然な形で自分のことに置き換えるように共感・感情移入してしまっていた。ご都合主義などでなく生き生きと脈打つ人間らしさがエモーショナルに詰まっている。画一的じゃないテーマの語らせ方が最後の最後まで等身大。最初は汽笛か何かかと思ったトランペットを全面に押し出した日本人による劇伴サウンドトラックも小粋に作品に寄り添い、実に魅力的。タイトル(最高!)、ポスタービジュアル、予告から期待していた以上だったかもしれない。最後の主人公の表情もグッと来るものがあったし、余韻が静かに染み入る。
P.S. 元カレのエムがイケメンだと思ったら出てきた今カノのミー役の人がタイプすぎて無理ってなった。
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