劇場公開日 2020年9月19日

「良質なワンシチュエーション作品」白爪草 ジャストKさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0良質なワンシチュエーション作品

2020年9月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

萌える

本作品の特筆すべき点は次の二点です。

一つは映画としての完成度の高さです。

この作品はワンシチュエーション作品ということで、本編通じて基本的には花屋で物語が進んでいきます。その点では、映画というよりもむしろ劇場で観劇しているような印象を与えます。
そして、物語は電脳少女シロさんによる一人二役で進んでいき、容姿はそっくりですが演じ分けがされているので混乱することはありません。

つまり、いわゆる「vtuber」が多数出てくるファン向けの作品ではなく、ストーリーを主眼に置いたワンシチュエーションサスペンスとして完成されており、その点でジャンルの好みが合う多数の人にオススメできると感じました。

もう一つは、映画の可能性に広がりを感じた点です。

これまでも『アバター』から始まる3D映画は過去に沢山ございます。
しかしそうした作品群と決定的に違う点として、3Dの美麗さをウリにして前面に押し出すのではなく、作品を表現する手段として3Dを使用しております。

そのため、3Dの迫力あるアクション作品を普段からご覧になっている方は「なんか違う」という印象を受けるかもしれません。
しかし、個人的な意見と致しましては、3Dが美麗な映像を写す真新しい・珍しい表現としての使われ方から、自分のやりたいこと、表現したいことを実現させるツールへと変わり、その転換点としての本作品なのではないかと思っております。

そういった意味でも、色んな人が本作品をご覧になり、賛否を述べていってほしいと思います。
今の時点で「こんなもんか」と思った方も、数年後には「ここまできたか」と思えるかもしれません。
真新しいジャンルでもあることから、全ての感想はこの作品、ひいては今後の作品のブラッシュアップに繋がると思います。

本作品のファンとして、より多くの人の目に触れてほしいと思います。

ジャストK