「逃れる人々のその先での苦しみとは」ヒトラーに盗られたうさぎ 琺瑯さんの映画レビュー(感想・評価)
逃れる人々のその先での苦しみとは
レビューのタイトルから、この映画がさも逃げた先に待つ苦しさに悶えて終わるかのような映画だと想像させてしまったかもしれない。しかし、映画にはコミカルな雰囲気がところどころに出てきて、愛らしい子供たちがいる。映画の原作は絵本で、ユダヤ人の原作者の実体験をもとにしている。強制収容所の体験や隠れて暮らすユダヤ人が主点となった映画は多いが、逃げた先の生活を舞台にした映画は観たことがなかったので新鮮だった。ヒトラーはうさぎを盗った。しかし、盗られなかったものもある。苦しみの中で翻弄されながら、生きていく子供たちの生活は何が盗られなかったのかを考えさせてくれるだろう。
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