「ハッピーエンドのその先の未来」ウルフウォーカー 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
ハッピーエンドのその先の未来
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アニメーションとしての表現が素晴らしく、もう目のごちそうとしか言いようがない。自然と文明の衝突というテーマ自体は『もののけ姫』から『ロシャオヘイ戦記』まで、数多くの別バージョンが存在していて、決して独自性が高いわけではないのが、歴史を思うと、ことはそれほど単純じゃないなと思った。
というのも、劇中で示唆されているように、イギリスの清教徒がアイルランドを征服し支配する直前の物語であって、自然と文明、以外にも、イギリス人とアイルランド人の対立、宗教的な対立、などいくつかのレイヤーが重なっている。そして、歴史の上では、アイルランドはイギリスに併合され、アイルランド島の狼は絶滅してしまうのだ。
それらのことを踏まえて観ると、長い歴史の中で虐げられてきた者たちが、時空を超えて、自分たちの存在を知れ!と訴えかけているような、そういう物語なのではないか。主人公たちの冒険の旅はまだまだ続くに違いないが、果たして彼らは安息の地を見つけられたのだろうか。
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