劇場公開日 2021年4月3日

  • 予告編を見る

ブータン 山の教室のレビュー・感想・評価

全102件中、101~102件目を表示

3.5先生は未来を教えてくれる

2021年4月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

場所を日本に替えても、僻地の若者が東京に憧れるのは同じだ。だけど、そうやって出てきた都会の生活の中でふと自分は何者であるかと振り返ることがある。(もちろん、日々の生活に流されるか、自分は都会の人間になったと勘違いしたまま振り返らない人もいるが。)
振り返ることができた人は幸せだ。たとえその感情が郷愁にも似た、ネガティブなものだとしても。そこには、形にはならない何かが存在する。迷ったり不安になったりした時に、自分の中に拠るべき何かがある。ラスト、ウゲンが歌いだしたとき、彼の胸中に去来した感情は、例えようのないそんな「何か」なのだろう。
そうやって見聞を広めた人間が、ひとつの土地(ルナナ)に根付いて生きてきた人たちと交わう。その意義を知っているからこそ、村長たちは若いウゲンにさえも敬意をもって先生と呼ぶのかもしれない。そんなルナナの人たちは「先生は未来を教えてくれる」と言う。彼らこそ、人生の生き方を身をもって教えてくれている気がした。

コメントする (0件)
共感した! 19件)
栗太郎

3.0幸せの教科書

2021年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

世界一幸せな国と言われているブータン。それは人それぞれの主観で、もっと幸せな場所は他にもあるだろう。
ただ「国民総幸福量(GNH)」を導入し数値化しようとした、その決断と思考が人の心を掴むのだと思う。

そんなブータンの実際の村を舞台に撮影された。歩いて6日間もかかる僻地中の僻地だ。
電気も通ってなく、太陽光発電も安定していない。「KITCHEN」と書かれた、土に穴を掘ったポットン便所があるぐらい。決してお世辞にも恵まれた環境とは言えない。

そういう原始的な暮らしを生理的に受け付けない人も多いだろう。特に衛生的で便利な日本に暮らしている人たちはなおさら。

でもそこには「ない」が「ある」のだ。

インターネットも届いてなくスマホもないから、暮らしにすべての神経を集中できる。流行りの丁寧な暮らしやパーマカルチャーを地で行っている。
それは生きていくために本当に必要なものが鮮明になるということ。

勉強を嫌がる先進国の子どもたちとは裏腹で、生きていくため、夢のために学びたいと目を輝かせるその村の子どもたち。
そこに望まず赴任された新米教師の心の変化で、それらの大切さを改めて痛感させられる。

目をキラキラさせるペン・ザムがかわいい。笑
そして何より景色がきれい。

学校の教材として子どもたちのみならず、大人たちにも観せたい作品。

コメントする (0件)
共感した! 17件)
もの語りたがり屋