ブータン 山の教室のレビュー・感想・評価
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輝く瞳は未来を映す
いい映画だなぁ。
ひじょうに好感の持てる、いい作品です。
西洋文化やIT社会に毒された我々にいちばん足りないものが、この映画の中にあるように思います。
これからの時代、ますますこの映画の描こうとしているものが大切になってくるでしょう。
キャストは、映画未経験のほぼ素人と、素人(実際の村人たち)で構成されているとのこと。
にもかかわらず、これだけ質の高い作品が撮れるとは、まったく驚きです。
学級リーダーのペム・ザムのかわいらしさ、けなげさに1度目のノックダウンを奪われ、セデュの魅力に2度目のノックダウンを奪われました。
村長もかっこいいし。
登場人物たち、それぞれの「歌」が心にしみます。
コントラストの効いた、光と影の美しい映像もいうことなし。
宣伝ポスターに写ったペム・ザムの利発そうで愛らしい表情と、その瞳の輝きにひかれて観にいったのだけれど、鑑賞して正解でした。
気がついたらマスクの下で微笑んでいる自分がいた。
そして、彼女の輝く瞳は希望にあふれる未来を映しているのだ、とわかりました。
今年上半期に鑑賞した中でベスト3に入る秀作です。
もう一度、観たいなぁ。
追記
マイナーな作品だし、それほど観客も入っていないだろうと思っていたのですが、意外にも(失礼!)連日盛況のようです。
僕が鑑賞したときも、たくさんのお客さん(中高年中心)が訪れていました。
こういう、地味だけど、誠実さの感じられる作品が注目されるのは、とても喜ばしいことだと思います。
この監督の次回作にも期待したいものです。
追記の追記
ずいぶん前に、テレビの深夜放送で『ザ・カップ~夢のアンテナ~』という映画を観たのですが、それがとても魅力的な作品だった(ふだん僕は劇場以外では映画は観ないのですが、たまたま点けたら面白くて観つづけてしまったのです)。
で、その映画を撮った監督の教え子にあたるのが、本作『ブータン 山の教室』の監督、パオ・チョニン・ドルジ氏であると知りました。
つながってるんだなぁ。
『ザ・カップ〜』、劇場で観たい。
観てよかった、心が洗われる。
ブータンの人々の生活や習慣を目にする機会がそんなに多くない我々にとって本作はブータンの人々の生活を知ることのできる貴重な作品である。その生活といったら、資本主義経済である日本で生まれ育った我々にとっては到底考えられないような質素で簡素な暮らしぶりだ。
なのに、なぜだろう、その生活や人々の存在が美しく尊い。この地球にこんな神々しい世界が存在するんだと。本作を見れば見るほどにひたすら消費し続ける私たちはなんて愚かな存在なんだろうと思わずにはいられない。
また“先生は子どもたちの未来に触れることができる”というセリフからも教育のあり方、教育者とは何ぞやという課題も問いかけている。
“幸せ”とは何だろうかーー。
紙一枚さえも貴重、勉強できることが幸せだと感じる人や場所がある一方で、資本主義国に住む私たちは生まれた時から多くのものを与えられ欲しがり、もっと、もっと、といった欲や煩悩に囲まれて生きている。その対象は人や物、多くの経験をすることにも向けられている。だけどもっと、もっと、とその底なしの欲望は延々に満たされることはないのかもしれない。
多くのものを知らないからこその幸せ、与えられた物や場所で精一杯生き抜くことも一つの幸せ、いや真の幸せではないだろうかと気付かされる。ため息の出るような美しい山々と生命あふれるヤクや愛くるしい子どもたちの笑顔に心洗われる貴重な作品だ。
ヤク満つる
僻地の学校がテーマと言えば、チャン・イーモウの「あの子を探して」を思い浮かべるが、あの映画と違うのは教師が都会から赴任するという点で、いくらか「田園の憂鬱」的な要素も加わってくる。
日本にもポツンと十軒家くらいの山村はあるだろうけど、さすがに行き着くのに8日もかかるところはないだろう。ブータンは九州と同じくらいの面積らしいけど、やはり世界レベルの高地ならではのことはある。画面には3人で山道を登る場面しか映っていないが、機材を抱えて同行していたスタッフたちの苦労もしのばれる。
ペム・ザム本人を演じる女の子は、「ミツバチのささやき」でアナを演じていたアナ・トレントに匹敵する逸材。ほとんど演じていないのかもしれないが、表情だけで目を引きつける。
“ヤクに捧げる歌”というのもすごい。ふだん聴いている音楽とはまるで違うが、なぜか劇中で歌われる度にぐわーっと涙がこみ上げてきた。
主人公はルナナでの数か月で本当に変わったのだろうか。映画はシドニーのライブハウスのシーンで終わるが、その後(ルナナに戻るかどうか)は明示的に描かれてはいない。ルナナにいる間は確かに人々の生活に感化されていたのだろうが、前半の自堕落で不遜な性根がそう簡単に変わるとも思えず、結局都会の生活を送るうちに「昔すごいところに飛ばされちゃってさぁ」とかエピソードトークで回想するだけに終わりそうな懸念を拭いきれない。
本当の自分を探しに…
自分探しの旅は、必ずしも自分が望んで始めるとは限らない…
最初の15分ほどは苦痛だった。久しぶりに寝てしまうかと思ったくらい…
主人公、ウゲンがガザ県・ルナナの村に着いてから、急に涙が込み上げてきた「僕はこんな暮らしがしたかったのだ」と…
主人公・ウゲンの進む先が何処にあるのかは分からないが、少なくとも彼は、ルナナの村に自分のアイデンティティーを見つけることが出来たのではないかと思う。
トレッキング、という言葉の意味を知るために、この映画を観るのも良いかもしれない。丸一日バスに揺られて着いた村から一週間、起伏の激しい山道をひたすら進み、時には身を斬る様な冷たい川を渡渉り、空気の薄い峠を越える…
素晴らしい大自然を楽しむ余裕などそこには一欠片も無く、峠の神に祈りを捧げるどころか悪態を吐きたくなる。
それでも僕は、ルナナへ行きたくなった。ペム・ザムに逢いに行くために…
「教わる」ことの尊さ✨
すでに知っている、アルファベットや簡単な足し算を、先生から、大切そうに、嬉しそうに教わる子どもたち。
がらんとした室内が、やっと教室らしくなったと思ったら、厳しい冬が来る前に、先生は町へ帰ってしまう。
これまで何人の先生を迎え、見送ってきたのだろう、と思うと、切なくなりました。
先生には、ずっと村に残ってもらいたいけれど、別れがあることに抗わず、先生がいてくれる期間をとても大切にし、敬意を払っている子どもたちや村の人たちの清廉さが素晴らしかったです。
単に学びたいのではなく、「教わる」ことを大切にしていると感じました。
「一期一会」や、「あるがままを受け入れる」といった禅の心に通じるものや、万物に感謝する生き方をルナナの人たちから感じました。
日本では、「覆水盆に返らず」なのに、ルナナでは、「こぼれてもミルクはミルク」というのも素敵です。
今度、ブータン料理を食べに行こうと思います😃
シンプルな暮らし
夢から醒めたその後は・・
1 教職の意欲を失い、春から冬までの期間、懲罰的に僻地の学校に派遣された若い教師の姿と現地の人々との交流を描いた人間ドラマ。
2 主人公が派遣されたのは、麓まで徒歩で数日を要する富士山よりも高地の村。通信はおろかライフラインさえない環境、学校には黒板やまともな教材もない。着いたその日のうちに「無理です。帰ります。」と言う彼。それでも踏みとどまったのは、子供たちの学びたいというまっすぐな気持ちやヘタレの新任教師にも敬意を払う村人の姿。日々を過ごすうちに、教育者として成長していく。と同時に人としても心が整っていく。娯楽のない現地で主人公の心を捉えたものが地元の民謡。澄み渡る景色の中で浪々と歌われる。この歌が後々彼の人生を左右することになる。
3 監督は、のっけから主人公の置かれた立場をざっくりと示したあと現地への行程をテンポ良く描く。現地の場面では、雄大な風景と悠然たる民謡、そして子供たちの自然な動きが心地よい。季節の移り変わりの描写にメリハリが無かったのは残念。終局に向かっては、さらりと流しながら場面転換し、エンドロールにする演出はお見事。主人公とともに心が空を行く。
4 俳優では、次第に成長していく主人公を演じた男優が好演。村長は、おそらく地元の人だと思われるが、気骨と信念のある役どころで印象を残す。歌い手の娘は田舎暮らしであっても土臭くはなく魅力的だった。クラス委員の子の笑顔とその眼差しは人を引き付ける力がある。
学べる場所はどこにでも転がっていた
山に響く美しい歌声
ポスターの写真だけでも美しいブータン映画。首都ティンプーの普通の若者、他の国の都会の若者と同じような今どきの軽いノリの彼。一応教員なんだけどこらえ性なく教員やめてオーストラリアへのビザを毎晩遊んで待ってる。急に辺境の小さな山の村に赴任命じられ携帯電波もない山奥へ。最初は帰る!というんだけど目がキラキラの子供たちがかわいくて何もない教室工夫を凝らして授業を始める、ヤク飼いの女性にヤクを追いながら歌う歌を習う、貧しいが満ち足りて、足りないものを渇望して決して満足とはならない都会とは違う生き方暮らし方を知る。オーストラリアへのビザ無事取れて、冬がくる前に(冬の間は雪で学校閉鎖)任期は終わるのでそのまま子どもとも女性とも別れを告げてギター片手に歌手になろうとオーストラリアへ。バーで英語の歌(古くてださいの・・・)歌うがオージーたちは誰も聞かない、嫌気がさしてふとギターを置いてヤク飼いの歌を歌うってラストで、ネタバレしちゃいましたが、幸福度世界一というブータンで背中にそう書いてあるTシャツを主人公も着ているんだけど、年寄りが幸せ世界一の国って言われてるのにお前たちはなぜ外国へ行きたがるんだね幸福はここにはないのかってつぶやく。おそらくコロナワクチンもまだ届いてない、山奥の村で、確かに物はないけど手に入るもので充足している村、学校の先生を熱望し三顧の礼で迎える村長さんは「教師は未来に触れることができる職業」という。不便で寒いけどほぼ自給自足で捨てるものがほとんどなかった古き良きラダックの暮らしとか、ある意味幸福度高いこのようならブータン山村とかにある幸福、それに比べ、モノ金サービスが究極を超えてしまった都市部の生活その落差。今SDGsとかESGとか言ってるけどこれも法制化されて制度化されて資金化されてCO2削減できない小さな企業は淘汰される、設備投資できる大企業だけが生き残れる。子どもたちの未来将来のため教育を受けさせたい村長、教育を受けた子どもたちは都会に出てさらに勉強を続けるだろう、未来は都会や幸福の国の外を出ていくところにあるのからさらに未来に触れるべく山の教室にもどってくるのか。ヤク飼いの女性はいつでもここにいると言った。私たちが回帰するところはまだ常にあるのか、微かな希望を感じる。
先生を育てるのは
この映画の前に観たのが「SNS少女達の20日間」。
エログロGGI共に反吐吐きたくなってしまったので、心の浄化の為に観ようと思ったのがこの映画。
ほんというと、もっとベタなお涙頂戴的な感動モノを期待していました。
でもブータンでだって首都に住む若い子はやっぱり今時のチャラ男になるんだね。
僻地ってのがさすがブータン!日本じゃ考えられないようなど僻地!歩いてテントで寝泊まりして何日もかかるとか考えられる?
でも確かに心が洗われるような景色。映画館の中の空気まで綺麗になったような気がしました。
そして何より学級委員長の瞳と笑顔。やられました。
ウゲンみたいなやる気のないチャラ男を村人総出で出迎えて、村長も子供達も皆常に敬意を払って接してくれる。
ウゲン成長したね。敬意と自然がウゲンを育てたの。
昔は日本でも「先生の言うことはちゃんと守りなさい。」って親達も言ってたみたいだけど、今は「ろくな教員じゃない」とか言って、親も先生を信じてないし子供の前もってでもバカにしたりする。
そりゃあひどい教員のひどい行いがニュースを賑わせてるけど、若い先生は子供と親が敬意を持って接してたらそれに応えようとしてくれるんじゃないかなぁ。
賛否あるだろうけど、ラストはウゲンが村でまた子供達を教えてるってシーンを見たかったなぁ。
先生は未来に触れることが出来る
ペムザム
幸せとは
【ブータン、世界、学校、先生、算数、世界】
これは世界一幸福度が高いと言われるブータンの山奥の更に山奥の村の学校のお話だ。
だが、首都ティンプーの多くの若者は、自分達の国を退屈だと思い、片道切符で外国を目指している者もいることに結構驚いた。
とどのつまり、インターネットは世界を狭くしたが、実は多様性を貧富など単純な尺度で矮小化させて、実は多様性を阻害することもあるのではないのかと思ったりする。
僕は、ウゲンは、再びペムザムに会うことになるのではないかと思った。
そういえば、算数は英語でやっているのを見て、日本も同様にした方が良いんじゃないかと思ったりもした。
数式は、グローバルな共通言語みたいなものだ。
だから、インターナショナルな言語の英語で勉強すると、英語の実践的な学習にも繋がるような気がするのだ。
インターネットで安易に世界と繋がるより、地道でも、算数を通して世界と繋がる方が、健全な気がするのは、僕だけだろうか。
日本の教師にとっては、生徒の受験が最大のテーマのひとつだと思うが、村長が言うように、先生は未来に触れることが出来る…というか、子供達が未来に触れる触媒のようであって欲しいと思う。
頑張れ、日本の先生!
真の豊かさとは
気のいい今時の若者の教師ウゲンを、シェラップ・ドルジが素朴な魅力で好演。思わず不満を漏らす姿にクスリとさせられた。
厳しい自然と共存し、毎日を慎ましく生きる彼らの住むルナナから見える山にも温暖化の影響が。。彼らに罪は無いのに。
最後にお店で歌うウゲンは、想いを馳せただけなのでしょうか、それともやはり一念発起…。
ルナナで生きる彼らの純朴さと、真っ直ぐで強い眼差しが印象的でした。
この春、親元を離れ、新人教員として奮闘している彼女の事を思った。
映画館にて鑑賞
ブータンの美しい景色と心の綺麗さを感じた傑作
ネットの短めの予告動画を見て、絶対面白いと面白い、直ぐに観に行くことにしました。
内容は想像どうりの内容だったが、想像を超える面白さと感動。僻地の村人達みんなが学校の教師を待ち望み、教育の大切さを理解して、子供達の未来を本気で考えている事に感動。また、子供達の純粋に勉強したい気持ちとそれは応えるウゲン。徐々に村の生活に慣れて行くが、帰らなきゃ行けない状況に自分も同じように心が締め付けられました。誰も傷つけない素晴らしい映画。今年見た映画で1番良かったです。
美しい景色にため息
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