劇場公開日 2021年4月3日

「どことなく懐かしくて、癒されたり考えさせられる」ブータン 山の教室 どん・Giovanniさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0どことなく懐かしくて、癒されたり考えさせられる

2025年3月18日
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鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

 考え方次第で、不満を持つことも満足することも、価値観も変えることも可能である。人間にとって 一番大事なものは何か、それは 場所や文明によって異なるだろう。
 最も幸福な人生を送る秘訣について 考えさせられた。答えは まだ出ない。

 劇中に登場する山の上の村で 先生を迎え入れるのは、子どもたちの教育のためと言うのは大義名分で、誰もが 本当は 一生そこに住んでくれる人を待っている可能性がある。本能的に種族の存続のため、家族や仲間のため、柔軟性があり體が丈夫で信用できる 外から来た人が仲間になり、子孫を残し、平和と喜びを永続したい。そして、人口が増えすぎることも減りすぎることもなく・・・。

 理想論かもしれないが、何処にいても隣の芝生は青いのだから、覚悟を決めて、自分の居場所を大事にしたい。そうすることが、そこに生まれた理由でもあり、意義でもあるように感じた。しかし、山の上の村のような場所に行き、そこに永住するのも また、宿命かもしれない。それは誰も強制できないのだ。

 今作の主人公は、夢があり、それを実現するほどの立派な人であった。彼なら、あの標高4800メートルの山に戻ろうと思えばいつでも歓迎されるだろうし、また、実家に帰ることも可能である。オーストラリアに住み続けるという選択もある。選ぶことができるというのは、いっけん恵まれているようでいて、幸福度と比例するわけではない。三つの選択肢があったとして、そのうちの一つしか選べないとすれば、つまり 残りの二つを諦めなければ ならないのだ。自分が三人いるなら良いが、それはあり得ない。誰だって 自分は一人しかいない。

 自分が もし、あの山の村に永住することが許された としたら、どうしよう。
 そもそも、自分のいる この場所を離れる理由があるだろうか…。
 今のところ、ここで生きる理由しか思い浮かばない。いや、やはり実際に あの場所に行ってみて、それから決めたい。
 …そんなことを考えてしまった。

 どことなく懐かしくて、癒されたり考えさせられる素敵な体験だった。

どん・Giovanni
きりんさんのコメント
2025年3月18日

ウゲンが、オーストラリアのカフェで思い悩むあの「ラストシーン」がとっても良かったですね。
自分はどこに身を置くべきなのかって。
大きな問いでした・・。僕も近々転居して故郷の両親のところへ戻るべきなのでは、って考えているところなのです。
ホント、体が3つ有れば良いのに😭

きりん