「ここまでダビンチの作品を近くでは見れないので、よしとする。」ルーブル美術館の夜 ダ・ヴィンチ没後500年展 七星 亜李さんの映画レビュー(感想・評価)
ここまでダビンチの作品を近くでは見れないので、よしとする。
ドキュメンタリーなのだが、現場のキューレターの方の解説が主なので、かなり学術的。
半分、夢見がちになりながら、後半、段々と面白くなる。
そもそも、ダビンチが生きていた頃の状況を考えて見て、彼が何を見せたかったのかを想像すると、
動画というものがない訳だし、描かれている人に感情があるという絵もなかったんだと思う。
ダビンチの素描の解説の中で、動いているものを描くために輪郭線は何重にも描く、または、はっきりさせないと説明されていた。
つまり、ダビンチは、動いている人の一瞬の感情や動きをとらえたものを描きたかったんじゃないか。
その当時は、聖書の中で出てくる話を事実として人々が考えていた訳だし、
それをいかにリアルにドラマティックに伝えるか、ということを考えたときに
この感情の時の人の目の動きや表情、空間までを解剖学的にわたってまで考えて、見せたかったんじゃないかと思う。
最後のモナリザに関する解説の時に、ほぼ実際の人物と同じ大きさで描かれており、同じ目線で見るとそこに彼女が存在しているように見せたかったという解説を聞いて、
ダビンチは、哲学者であり、今でいう、映画監督に近い感覚だったのではないかと思う。
解説は、フランス人らしく、若干まわりくどく眠くなるところもあるが、このコロナの状況で絶対に実物を見に行けないことと
行けたとしても、ここまで近くで鑑賞できないことを考えると、こういう楽しみ方もいいのかも。とも思う。
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