劇場公開日 2021年6月18日

「現代的な悪の組織のコメディ。」ザ・ファブル 殺さない殺し屋 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5現代的な悪の組織のコメディ。

2021年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「ファブル」は殺し屋だから、「悪」の側の人間のはずだが、正義の味方に見える所がこの映画の面白さだ。普通の生活を送る「休業中の殺し屋」という設定が生きている。現役の殺し屋よりも緊迫感が和らぎ、その分コミカルでヒューマンな仕上がりになっている。笑わない岡田准一の演技がいい。世間の普通の人とのギャップをさりげなく出し、ヒナコへのクールだが暖かい心情もよく伝わってくる。日常生活では少しずれている「ファブル」だが、アクションシーンはすさまじい。団地での戦闘は、「ランボー」か「ダイ・ハード」かという孤軍奮闘ぶりである。こうしてみると、岡田准一というアクションスターあってのファブルと言っていいかと思う。
今回ファブルに対するのが、宇津帆率いる悪の組織である。こどものためのNPO法人を隠れ蓑にするあたり、いかにも現代的な設定だ。表の善人の顔と裏の極悪人の顔を堤真一が愉快に演じ分けているのが楽しい。全体としては荒唐無稽と言っていい内容だが、現代的な犯罪組織のコメディとして見ればとても面白い。

ガバチョ