劇場公開日 2021年6月25日

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「横浜聡子監督の少女の成長譚」いとみち たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5横浜聡子監督の少女の成長譚

2022年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

映画『ウルトラミラクルラブストーリー』で衝撃的なデビューした横浜聡子監督の最新作。
本作も津軽弁全開であり、青森を舞台にした少女の成長ドラマを描いた佳作。

冒頭の学校場面から津軽弁だらけなので「理解できるかなぁ…?」と思いながら観ていたら、全編の物語把握は概ね問題なかった。
ただ、細かいところはニュアンスが微妙だったかも知れないが、DVD観終わって[メニュー画面]が表示されたら[標準語字幕 ON/OFF]切替えがあった…(笑)

JR板柳駅という駅が2回ほど出て来るが、青森にある駅。
横浜聡子監督の映画は、やはり風景描写が美しさが浸みる。単線列車が自然の中を走るシーンなどは構図も見事!

物語は、青森県の高校に通う相馬いと(駒井蓮)は人見知りで友人もできず、特技の津軽三味線も弾かずに過ごしていた。いとは思いきってメイドカフェのアルバイトを始める。客に痴漢されたりするが女友達も出来て、人生に推進力を持たせるような少女の成長譚。

そうしたドラマの中で、いとが祖母(ばば)と二人で津軽三味線を弾くシーンからは、二人の楽しそうな気持ちが伝わって来て、微笑ましい。

いとの父(とっちゃ)を豊川悦司が演じていて、「東京出身で津軽弁は覚えるのに時間がかかった」との発言もあるが、メイド喫茶で働くいとに「けっぱれ!」と言う。「頑張れ!」の意味だと思われる。

本作で、16歳のいとを演じた駒井蓮は、鼻筋が通った美人で津軽弁もバッチリ、三味線も上手い……と「本作の いと役に、これほどの適任はいないのではないか」と思わせられた名演。

横浜聡子監督の見事な映画。
(2021年キネマ旬報ベストテン第9位)

<映倫No.122597>

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たいちぃ