甲子園 フィールド・オブ・ドリームスのレビュー・感想・評価
全1件を表示
何のための高校野球か…
関わる立場、到達したい目標次第で変わっていくのはどんなモノでもあることだ。
作品は横浜隼人高校監督松本哲也さんと花巻東高校の監督のコメンタリーを中心にその家族やチームの選手達の姿を見せてくれる。
観る前は、そこかしこで漏れてくる不祥事やトラブルとかも取り上げてるのか?と思っていたが、目に見える表層を淡々と見せる事に集中した感じ。
それら諸々の人々のただ1つの想いは“甲子園に行く”だ。
紹介された二校の指導シーンは苛烈なシーンもなく、花巻東に至っては髪型自由とか、高校野球は坊主って感覚も変わってきているのを実感した。
三年しかない時間を注ぎ込む選手たちもレギュラーと補欠の区別はあるものの、当初の目標として日本一の練習をする…とか必要とされる自分になる…とか、試合に出なくても自分を形成する目標を持たせているのは良いと思った。
ともすれば単なるお題目になりがちな文言ではあるが、100人が100人同じように育つ訳でも、同じ環境へ進んで行く訳でもないから、高校卒業後にも活かせる人間育成の場所になっているのだろう。上級生が下級生を指導する際の話を見るに、形としては人間性の育成が出来そうな気がする。
観る前の私自身からすると甲子園とは私立高校が全国から選手を集め、公立高校を押し退けて優勝し生徒集めをし、選手サイドからは「プロ野球入団への自身を売り込む見本市」に他ならないので、ド田舎の公立高校が試合に勝てるなんてドラマは殆ど起こらないと思っている。
だから、栄養費等の囲い込みや過酷な試合日程(投げすぎ)、未だに聞こえる根性論、そして他の高校生スポーツにはないNHKやテレビ朝日での放送など、少々異常な熱狂も含めて“健全さ”からは欠け離れたスポーツに見えていた。
今作品を観たことで、全ての高校野球がそれ一色では無さそうには見える様になった。
全1件を表示