アーニャは、きっと来るのレビュー・感想・評価
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子供から大人まで親しみやすい語り口が魅力
このところ、ナチスドイツやユダヤ人を描いた映画となると、リアリティを追求したシビアな物が多かったが、一方の本作はモーパーゴの同名小説をベースにしていることもあり、各々のキャラクターであったり、登場人物が心を一つに何かをやり遂げようとする姿にこそ中心を据えているようにも思える。ノア・シュナップが演じる羊飼いの、ユダヤ人少女たちを逃がす手伝いをしながら徐々に使命感を高ならせていく姿が非常に健気で、透明感溢れる佇まいや瞳に惹きつけられてやまない。トーマス・クレッチマン演じるナチス下士官もまた、画一的ではないドイツ兵を内面深く演じる。喪失感を重ね合わせた彼と少年が束の間の擬似父子のように思えるのも、おそらくこの場所が、過酷な現実を忘れさせる圧倒的自然の中だからこそ。ある意味、性善説が強調された物語であるし、親子そろって味わって、この時代のことや主人公の気持ちについて理解を深めることのできる作品だ。
静かに恐怖がやってくる
南フランスのピレネー山脈に抱かれた牧歌的な小さな村にユダヤ人家族が密かに逃げてくるのと時間を置かずにドイツ軍の占領統治部隊がやってくるところから物語は始まります。 戦争の一部を描いた映画としては凡庸の類ですが、ピレネーを超えてスペインに逃れようとするユダヤ人家族にドイツ軍部隊がひたひたと迫ってくる様子、行きがかり的にユダヤ人家族を助けようと秘密を守り必死に助ける少年の頑張りや焦燥感、そして、助けの力が少年から少年の家族、やがて村総掛かりに広がっていく感じが上手く表現されていました。また、ドイツに反発するフランス人の日常(まあ、フランス人と仲良くやれる欧州人ってそうそういないと思いますけど)、ドイツ軍伍長さんと少年とのふれあいなど見どころはそれなりにあります。 ただ、セリフが英語、文字がフランス語、たまにドイツ語というのはいかがなものかと、、、、制作が英国、ベルギーなのは分かるのですが、フランス語ベースでやっていただきたいものです。欧州の映画だとありがちな設定ですが、ここで緊張感が削がれてしまって残念です。 ピレネーの風景でしょうか、とても美しい風景には感動しました。 で、アーニャはやって来たのでしょうか。
残虐シーンのない戦争映画はほっとする
残虐シーンのない戦争映画はほっとする。それでいて悲惨さ悲しみ理不尽怒り緊張感は充分に伝わってくる。風景がとても良い、街の様子も。人々の描き方がとても優しい、ドイツ人伍長も。この映画では人を殺すシーンがないが(ラストに1人あり)そうなるのではと常に怯える自分がいた。もうそれで充分だと思った。
掘り出し物
一言「ちょっと、ホロリ」。 原作が中学生向けか、なんて侮ることなかれ。 第2次世界大戦下で、ドイツに侵略され迫害を受けるユダヤ人を。 南仏の山越えでスペインへ逃そうとする話。 以上。 語り部の主人公が、子供時代の話を語る流れが。 みている方もどこか俯瞰的に、話を見ている気もしたり。 途中にドローンで撮影したであろう、南仏の山々が実に綺麗。 戦うか、それとも逃げるか。 小さな子供たちがいる人々は、逃げるしかない。 それを手助けする地元の人々の、結束というのは。 多くの国であったことなのでしょう。 多分12歳くらいかな、主人公の少年時代。 その澄んだ瞳と心が、感情移入しました。 時に痛々しい場面もあるし、応援したくなる。 ドイツ軍伍長と少年たちの、ちょっとした往来もあれば。 「うまく逃がせることができるのか」ハラハラも満載。 終盤までアーニャが出てこない演出は、「そういえば」と急に気づかせる。 おじいちゃん役にジャン・レノ、おばあちゃん役にアンジェリカ・ヒューストン。 要所を締めるいぶし銀でした。 ⭐️今日のマーカーワード⭐️ 「お前の息子が、彼らの命をつないでいるんだ」
アーニャが電車で他人に託され、おばあちゃんの家で会おうと父と離れ...
アーニャが電車で他人に託され、おばあちゃんの家で会おうと父と離れ離れになったが、あんな小さな子供がおばあちゃんの家をちゃんと覚えていたのだろうか?あの後からアーニャがおばあちゃんの家に帰ってきたまで、どの様に過ごしてきたのかが分かるともっと良かったと思う。 ベンジャミンとまた戻ってしまったレアがその後どうなったのかも描かれていれば良かったとも思う。 ジョーもおじいちゃんもみんなにバレないようにと必死に隠していたけれど、結局村人みんなが脱出に協力してくれて、家族なのに隠されていたお母さんもとても良いアイデアを出してくれたり。息子の不幸により少し考え方が変わってきたように思えるドイツ軍の伍長もきっと窓の外から覗いた時に気が付いたと思うのだが知らん顔をしてくれたと解釈したけれど、人の優しさも垣間見れる、辛い映画だけれど救いのある映画でした。
タイトルなし
イギリスの児童文学作家 マイケル·モーパーゴの同名小説の映画化 1942年ナチス占領下のフランス ピレネー山脈の麓にある小さな村が舞台 13歳の少年ジョーが 偶然出会ったユダヤ人との交流から 村人たちが一致団結し 迫害を受けるユダヤ人の亡命を手助けする 実際に行われた救出劇を 少年の目線で描かれている秀作 何百人もの命を救った実話
美しい村での出来事
戦争映画のユダヤ人を題材にした映画は多いが、どの映画もドキドキ感はすごい。この映画も同様でオープニングの場面からはじまり、牧歌的な場面が続いたかと思うとドキドキシーンの連続。むごたらしい戦争の描写は無かったがむなしさは残った。すぐに人を殺すドイツ兵もいたが隠れていたことを見逃してくれるいいドイツ兵もいて救われた。美しい村と戦争のアンマッチが織りなす独特な映画で少し希望の見えたラストシーンが余韻に残った。それはそうとアーニャはどうやって村まで来たんだろう。最後の顔出しがなかったのはなぜ?ちょっとした疑問が残った。
時代考証の再現度より、分かり易さを求めた児童映画の時代を越えて伝えたいこと
ナチスの虐待からユダヤ人を救う第二次世界大戦の歴史考証の一編。舞台はスペインとフランスの国境沿いのピレネー山脈の麓のレスカン村で、主人公は代々続く羊飼いの13歳の少年ジョー。イギリスの児童文学者マイケル・モーパーゴの1990年に発表した『Waiting for Anya』を原作とし、イギリスとベルギーの合作映画となっている。その為か、登場するフランス人もドイツ人も英語で台詞を語る。また、主人公を演じるのがアメリカ人のノア・シュナップという少年で分かるように、これは時代考証を密にした実録の戦争秘話を語るコンセプトの作品ではなく、あくまで児童文学の平明さと優しさから誕生したイギリス映画であり、戦後40年以上過ぎて還暦に近い主人公ジョーが、当時の10代の少年だった自分と同じ年代の、今の若い人達に伝えたい内容自体に意味がある。 表現の脚本と演出に問題がない訳ではない。ユダヤ人ベンジャミンの義母アリスの元に庇護されるユダヤ人の子供たちがどう集まってきたのかの説明不足や、500頭にも及ぶ羊の移牧の表現力の弱さなど、描写力の不満が残る。ただそれらを指摘し列記してもあまり意味が無いと思う。簡略化した表現の絵本にケチを付けるようで、気が進まない。 ノア・シュナップは、綺麗な顔立ちで純真無垢な少年を好演している。勉強が苦手の田舎の少年までは演じていないが、主人公ジョーの切なさは充分伝わる。彼と敵対しながら不思議な友情を育むドイツの伍長役トーマス・クレッチマンのあまり表情に出さない演技も印象的で、中尉役のトーマス・レマルキスと対照的なドイツ軍人を表現している。知的障害のあるユベールとの交流も、時代背景から考えると珍しい。もう一人の主人公ベンジャミンのフレデリック・シュミットが渋い演技を見せる。但し、祖父役のジャン・レノとアリス役アンジェリカ・ヒューストンの貫禄の演技がやはり目立ち、最終的にはこの二人が作品を救っていると思う。ラストシーンの為に二人の再婚をエピソードに入れたのではないだろうか。その優しさがいい。 4年の捕虜収容所から帰還した父親が酔い潰れてベットに運ばれるところで、虐待を受けた父の背中を労わる母親の姿をドア越しに見詰めるジョーのカット。美しくも険しいピレネー山脈の山肌を移動する羊のシーンの俯瞰ショットの素晴らしさ。特筆すべきシーンも多く、特に鷲の飛翔をモンタージュしたカメラアングルがいい。伍長がジョーに聴かせるように朗読する詩の内容と鷲が結び付く。鷲から見える視点に神の存在を意味付けている。ジョーの行き着いた一つの言葉は、憎むものを哀れむこと。分かり易い表現で作られた青少年のための児童映画の良作である。
どんな時も、人間らしく、生きていきたいのだ‼️❓
よくあるナチス占領下のフランスでのユダヤ人救出劇かと思いきや。 初めてかも、ドイツ軍の人の人間性と絡めて描かれたのは、当然あるはずだけど、消していたのかも。 ある意味、思想的にも、ニュートラルです、その分、ある意味、リアルです。 それで、戦争が、普通の人間に人を殺させる、その恐ろしさを改めて感じさせられる。 少年を含めた彼らの勇気を見習いたい、こんな世の中だし、余計に。 ピレネーの山嶺も彼らも美しい。 心が洗われました、是非。
ジョーがかわいい
パリからナチスドイツに追われ南仏へ逃げたユダヤ人を助ける羊飼いの村人達と国境警備のドイツ兵の話。 ドイツ兵の中にもなぜユダヤ人を捕らえないといけないのか疑問に思っていた人もいたようだ。 スペイン国境に近い南仏の山々が綺麗だった。 羊飼いの子供ジョー役のノア・シュナップが勇敢で可愛かった。
戦時下での人と人の関わり
近頃、大戦下でのドイツやその周辺を描いた映画が多いように思う。 この作品もその中のひとつ。 ただ、いわゆる戦争映画という感じではなく 大戦下での、国と個人の関係性、 個人としての人との関わりと、そこに生まれるそれぞれの葛藤などが、繊細に描かれていると思う。 はっきりと言葉で説明されているわけでは無いが、 演出から想像することで、より、この映画を見る意味が生まれるような気がする。 ドイツ兵もやはり人間であることに変わりはなく 収容所に送られたユダヤ人がどのような扱いを受けるのか ある程度わかっていても、わからないと言ったり… 本当は自分がそれの一端をになっていることを、 認めたくなかったのかも知れないなと想像してしまったり…。 史実を基にした作品を見るたびに 自分が知っている世界はとても狭く 今の社会、世界は、これまでの人々の営みのもとに成り立ってきているのだなと考えさせられる。 大きな歴史の出来事の中に、目立たずとも確実にひとりひとりの存在が 大切な存在としてあったのだな、と感じさせてくれる作品だった。
最後の「ありがとう」にたくさんの意味が込められていた
地方に住む少年から見た戦争、そしてドイツ人とユダヤ人の子どもたち、彼らの違いはほとんどないのに国と人種によって隔てられた悲しい時代。異分子を排除するためにやって来たドイツ兵たち、村にとっての異分子はまさにその彼らだったのに。概ね原作通りですが、未読の人にとっては捕捉が必要なところもあったかも。広大なフランス、ピレネー山脈の美しさや村人たちのあたたかさが滲み出ていて本当によかった。喜びと、悲しみが同時にある中で、馬上から少年へ差し出した手、最後の「ありがとう」に胸がつまって涙しました。
南フランスなのにやりとりが英語なのは残念
2020年映画館鑑賞129作品目 原作未読 観る予定ではなかったが観る予定の映画に間に合わなかったので代わりにこれを観ることにした 駅でのアーニャと父親の別れのところでいきなり泣けてくる 父親とレアはどうなった? 主人公ジョー役の男の子が美少年だ 高倉健の映画と違い熊は着ぐるみではない 本物かと思ったがCGだろう 本物だとしたらボリジョイサーカスあたりで借りてきたのか 万が一のこともあるため役者にそんな危険なことはさせまい 舞台が南フランスなのに村人のやりとりが英語というのが残念 ナチスは時々ドイツ語なんだけど 熊はリアルなのになぜ イギリスとベルギーの合作だからだろうが 移牧する際のピレネー山脈の大自然が素晴らしい 伍長さんなどナチスを極悪人に描いてないのが知的で良い タイトルはアーニャだが最初と最後しか出てこない ずいぶん背が高くなった アーニャはメインではない その点では『鬼龍院花子の一生』を思い出した 作品内容は全く違うけど 政治とか人権問題など難しいことはよくわからない ニュースを観ればコロナコロナコロナでうんざりだ 東京の知識人は大嫌いだ レビューに託けたインテリの政治談義なんて読みたくない 例外もあるが映画は僕の心を癒してくれる
人間は何してんだろね?
国境に住む人々が、ナチスの弾圧からユダヤ人を 逃がす手伝いをしていた事実が元となっている物語。 最近ハードな映画を見過ぎだったのか?本作品の 優しい語り口と素晴らしい自然美の映像にホッコリ。 とにかく、自然の山々の風景綺麗すぎます。 一年を通して。 ドイツ兵だって人間。全員がヒトラーではないし、 悩みながら戦っていた兵士はいるでしょう。 殺しあってる人間が、憎み合い、いがみ合う人間がチッポケ過ぎる、大きく、逞しく、激しく、豊かな自然の中では。。。けど、、、 熊に襲われるエピソード。 「(子供を守る)母熊も(家族を守る)村人もやるべきことをやった」 と言うセリフはなくならない戦争をイメージさせるし、 また、この地球上(人間が居る自然界)では仕方ない ってこと言いたいのかな?熊が何かの比喩的に使われてるっぽいんだよなー。 作品としては最初から緊迫感あり。 アーニャが主役とおもいきや、違った(笑) でも、アーニャは平穏の象徴として描かれたから 作品テーマから考えれば主役かな? 戦争とは無縁の村が徐々にキナ臭くなっていく様、 武力に支配されなければならなくなっていく様は、 きっとこうだったんだろうと思える程。 作品内には魅力的な人物が多数出てきますが、 もうちょい、人間模様描いてもよかったかな? 事実を知ると問題収束しちゃうとか、 あんなに隠してたのに、クライマックス安易じゃない? とか。 けど。リアリティ持たせすぎないようにしたのかな? 家族で見る、史実を知る映画としては良作ではないでしょうか? アーニャはきっと来る。 なるほど、よくできた題名です。二つの意味が含まれてると思います。 民達の祈りと逃亡支援者の願い。 この題名からもこの作品は様々な裏メッセージがあるのかな?
感情を移入しながら Uplifting event
悲劇の時代に、それぞれの境遇の中で生きた人々の中に、感情を移入しながら、アーニャを待ちました。While I was waiting for Anya, Anya came to my heart.
全44件中、1~20件目を表示