「ピレネー山脈の極秘計画」アーニャは、きっと来る MARさんの映画レビュー(感想・評価)
ピレネー山脈の極秘計画
第二次世界大戦中、美しい自然が溢れる南フランスの片田舎。ユダヤ人の子供たちを安全なスペインへ逃がす計画を企てる男と出逢い、その計画に協力をする少年を描いた物語。
羊飼いの少年、ジョーはユダヤ人の男ベンジャミン、そしてひとりのナチス伍長と出逢い、それぞれと親しくなる。
どうにもうまくいかないベンジャミンの計画や、伍長に起こる悲劇と葛藤、戦地から帰ってきた父親とのやり取り等を挟みながら、村の人を巻き込んだ極秘計画がいよいよ実行される。
他の作品と比べ、ナチスの残虐性はそれ程描かれていない本作。しかし、相手が親切な伍長だからこそ、逆にニアミスの緊張感が沸々と…。
山小屋のシーン、ジョーの機転が功を奏したのか、或いは本当は伍長が…?
戦争を描いた作品だが、気が滅入るような描写はそれ程なく、適度にドキドキさせてくれるし、感動させられるし、ピレネー山脈の自然がまた美しい。
作戦遂行中のシーンは、大事なシーンなのに、非常に多くの羊が連なって山道を行く姿が可愛すぎてちょっと笑いそうになってしまった(笑)
全体的に観易くてとても面白い作品だった。
強いて言えば、ガッツリ感情移入させる為にはもう少しベンジャミンとジョーの仲が深まる描写が欲しかったのと、お父さんが味方になるまでにもう一悶着あっても良かったかな。
そして個人的には、このタイトルにするほどそんな重きが置かれていたかな…とも。
戦争とは、戦場で血を流すだけが闘いではなく、こんな片田舎の子供たちにも、彼らなりの闘いがあったこと、そして実際に彼のようなナチスはどのような思いを抱きながら戦争と向き合っていたのだろうか。
また、亡命のユダヤ人を売る市民もいれば、本作のように助ける市民もいたという事実について。
そんなことも考えさせてくれる作品だった。
MARさん
コメントへの返信有難うございます。
人が根底に持つ優しさを感じさせて貰えた作品でした。
いい役者さん達が出演されている理由がそこにあるんでしょうね。