「雰囲気は悪くは無いものの」アーニャは、きっと来る Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
雰囲気は悪くは無いものの
この作品は事前に知っていたわけではないですが
封切り日に何かと言うことで観賞
戦火の馬などの原作で知られる作家の実写化作品
感想としては
・美しすぎるピレネーの大自然
・の割に所々ディティールが甘い
・どうやって子供だけであの村まで?
・伍長は計画薄々わかってたでよくない?
・観てる側の予想に応えない
・別にそれでもいいけど面白くなってない
など惜しい感じでした
1942年のドイツ占領下のフランスで
強制収容所に送られそうになったユダヤ人ベンジャミンは
幼いアーニャを隙を突いて逃がし南仏のスペインとの
国境付近にある母オルカーダがいる実家で落ち合いスペインへ
脱出するよう約束します
そしてその南仏の村の13歳の少年ジョーは
そのベンジャミンと偶然出会いその計画を知り
やがて村にもドイツの駐留部隊がやって来ますが
計画に協力し誰にも口外せず協力していきます
この村の規模がいまいちわからないんですが
部隊の数は30人もいないのを見るとそこまで大きくなく
村まではおそらく一本道ですがこんな環境でユダヤ人の子供が
どうやって逃げてこれるのかは一切触れられませんが
相当難しいのではと首をかしげながら観ることになります
ドイツの部隊は顔が怖いがジョークが好きな中尉と
穏やかな伍長が上官で駐留する間もジョーらとは比較的
友好的に相対していき
ジョーは父親が捕虜になって帰ってこないこともあり
警戒しつつもその後伍長が娘を空襲で亡くした事に同情し
少しずつ一緒に鷹を見に行くなど打ち解けていきます
しばらく経つと父が突然(ほんと突然)捕虜から帰ってきます
手をケガして働けなくなったからという事でしたが
そんな理由でアッサリ帰ってこれるものなのか?
出稼ぎ労働者と大して変わらないじゃん…
まあそれは良いとして父は働けない事で飲んだくれ
ドイツ兵を憎んでいるため伍長と交流してた
ジョーを「協力者」となじりますが計画を黙っていた
じいちゃんのアンリが全てを話しジョーは逆にドイツに
反抗している事を説明すると
父は今までがウソのように脱出策戦に協力します
そしてある日羊を丘に移動させる行事に紛れてユダヤ人の
子供たちを村人らと協力して脱出させる作戦を決行します
しかしベンジャミンの娘アーニャは未だ現れません
ここでベンジャミンは自分は残って待ち続ける事も示唆します
結局その計画はうまくいき丘の上の小屋に子供を匿えたのですが
そこへ伍長がつけて来て場は緊迫しますが深く詮索することなく
その場を去って行きます
ここもだったらなんでつけてきたんだよって位
大変な行脚なので少しは調べろよと思ってしまいます
この映画伍長の娘が死んだとか細かな伏線は張る割に
回収が結構ボヤけており肩透かしをくうところが多いです
実際伍長はこの計画を察知していたに違いない
ような行動をとっているのですが後にそれを聞くと
何かを隠しているとは思ったくらいの事しか言いませんし
ジョーと同じくらい交流していたユベールが最後に
中尉に銃を向け射殺されたときもそう何もリアクションせず
去って行きます
確かに立場上そうするしかないんでしょうが映画的に
演出がもう少しあってもと思ってしまいました
勧進帳の関所の役人も「わかってて見逃す」からあの話は
感動できるんだと思うんですけどそういうのにこちらが
慣れてしまっているのでしょうか
雰囲気や演出は素晴らしいんですが
なにか舌っ足らずな印象を受ける惜しい作品でした