「大きな裏切りはなかったかな」ウォーデン 消えた死刑囚 KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
大きな裏切りはなかったかな
刑務所の移転により囚人を護送する際に1人の囚人を見失う。主人公の刑務所長はこの後昇進を控えており、それ以前に逃したとなれば大きな責任問題になる為必死になって探す。この作品の面白いところは外に逃亡したわけではなく廃墟となる刑務所内に逃げた囚人が隠れており刑務所内を徹底的に探すため、序盤は非常に緊張感を楽しめる。
中盤あたりからこの逃げた囚人は冤罪で刑務所に入れられ、そして死刑を控える囚人という事が説明される。
この辺りから頻繁に刑務所を出入りする彼の弁護士のような女性(作品内では福祉士と説明)が手助けしているなと読めてしまう。
刑務所内のどこかに隠れておりそれを刑務官たちが探すいわばかくれんぼになるわけだが、序盤はその見つけ出す行為に緊張感を楽しむ事はできるのだが、探していくに連れて決してなにか巧妙な導きみたいな展開があるわけではなく、ここにいるのか??→いませんでした。みたいな展開が続く為途中で飽きを感じてしまう。
また隠れている囚人は冤罪だという説明はあるもののその詳細は描かれていない。
主人公の所長もプリズンブレイクのベリックの様に人間的に欠落している部分があるわけでもなく職務を全うしているだけ。
その為冤罪だとはいえ女弁護士が必死に囚人を逃がそうとする展開に魅力を感じない。
そんな魅力ない描写が後半は続き最後は所長が見つけ出すことはできたが逃す決断をして作品は終わる。
逃がそうとする展開に魅力を感られなかった以上最後のオチはどうしても不満は残ってしまった。
見慣れないイラン映画であり当初は少し身構えて見ていたが思ったよりは見やすく、また序盤の緊張感は楽しかった為最低限は楽しめる作品ではあったといったところか。最後に進むにつれて大きな裏切りがなかったのは残念ではあった。