劇場公開日 2021年3月26日

「異文化理解な映画。」ノマドランド ちんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5異文化理解な映画。

2021年4月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

4月5日@TOHOシネマズ梅田

レイトショーで鑑賞。

車中泊で生活をしていく女性のロードムービー。

私の知らないアメリカの姿を観ることができた映画でした。
アメリカの地方の厳しい自然や職業事情に触れることができてよかったです。

日本ではないことですが、アメリカでは会社が倒産すると街ひとつがなくなることも珍しくないようで、冒頭からカルチャーショックでした。

この映画を観て印象に残っているのは、ファーンが元教え子に「先生はまだホームレスをしているの?」と聞かれ、「ホームレスじゃない、ハウスレスだ」と答えるシーン。

日本ではノマドという存在自体メジャーではないので、違いがわかっていませんでした。
インターネットで調べてみたところ、ハウスレスは家はないが人とのつながりは残っている状態で、ホームレスは人とのつながりすらなくなっている状態を指すよう。

映画でも、ノマドは車ひとつで生活しているが、彼らの家族やノマド同士は繋がり合っている。
その精神的つながりが彼らを生きる方向へ導いているように見えました。

ノマド同士の交流を描いているシーンは心地よく感じましたが、高齢者がメインのノマドが亡くなっていくシーンで急に現実に引き戻されました。
「また会おう」というセリフが響きます。

ところで、ファーンという人物が最後まで読みきれませんでした。
高齢で、夫は先に亡くなり、お金もない、ノマド。
一見すると悲惨ですが、本人はノマドという生き方を、せざるを得ない状況とはいえ、気に入っているようで、姉妹やノマド卒業仲間から一緒に暮らそうと誘われても、退屈してしまって、結局ノマドに戻ってしまう。
最後には亡き夫の荷物を処分する様子もあり、少し理解が難しい心情描写でした。

異文化理解という観点で、面白い映画でした。

ちん