劇場公開日 2021年3月26日

「今感じる不自由さと向き合って」ノマドランド izumiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5今感じる不自由さと向き合って

2021年4月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

特段の知識もなく所謂洋画を観たくてさほどの期待もなく観た作品でした。
 出演者のほとんどがリアルホームレス、いやハウスレスという事実を知りドキュメンタリーかと思った理由に納得した。

マクドーマンド演じるファーンも他のありのままに演じている出演者?もありのままに存在しファーンと対話している場面は自然そのものに感じた、アメリカ社会ならではの車中生活、ましてほぼ全員が高齢者、日本では考えられない逞しさと自由な生き方が許される社会を垣間見た、日本では年齢の壁の向こう側の寂しさや1人で生きる難しさを体感している年代の人達である、車を使いスマホを使いGPSを使い時にはコミュニティを作り自分で車を改造しながら旅を続け高齢者、そしてそれでも雇ってくれる仕事場もある。
 ただその中には一人ひとり切実な事情がありその思い出を捨てきれず現代のノマドに身を投じているような気もする
 リーマンショックという大波に揉まれ失くしてしまった生活の思い出と亡き夫の記憶が、出会いがあり定住を誘われても意思が揺らぐ事がない、彼女に放浪を続けさせる大きな理由でありさまざまな束縛からの開放感があるのかも知れない。
 アメリカ社会でも西部の荒野や大自然の中と東部や大都会の中とはまた違うだろう、この作品に衝撃を受け共感し今の自分に向き合う事が出来た気がした、ノマドの人達があまりにも自然に存在し自分の言葉で語ってたから。

izumi