劇場公開日 2021年3月26日

「人生の最終期を想像して、孤独でいることの恐怖ばかりを感じてしまった。」ノマドランド kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5人生の最終期を想像して、孤独でいることの恐怖ばかりを感じてしまった。

2021年4月6日
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鑑賞方法:映画館

自分も間もなく高齢者の仲間入りをする。定年を向かえても生きるために働かなければならず、そのうち職探しをすることになる。
高齢者となって季節労働のクチを渡り歩く生活は、想像するだに過酷だ。そのほとんどは肉体労働でもある。
この映画に登場するノマドたちはほぼ高齢者。彼らは共同体(仲間)として助け合ったりはするが、群れて暮らすことはしない。一時共に働き、それぞれの別の職場に向かって旅立つ。かなり意思が強く独立心がなければ出来ない生活だ。
多様な生き方のひとつではあるが、ひとつの方向の究極に位置すると言えるのではないだろうか。
病気になって動けなくなったら、広野の真ん中で車が故障したら、独りで死んでいく覚悟があるのかもしれないが、自分は考えただけで怖い。
映し出されるアメリカの広大な自然が、その恐怖感を増幅させる。自分は自然のなかでのサバイバルは無理な人間だ。

主人公はやむなく「ハウスレス」の生活を余儀なくされたのだが、出会うノマドたちから生き方を学んでいく。
皆がみんな死ぬまで放浪生活を続けるわけではない。安住の地を見つける者もいる。
主人公はこの先どうなるかは解らないが、映画の範囲では車上こそが自分の居場所になってしまったようだ。
どんなに元気でも人は歳とともに衰える。誰かとひとつ屋根の下で暮らすことに違和感を覚えた主人公は、いつまでジプシー生活を続けるのか、続けられるのか。
家があっても、子供たちは離れてそれぞれの生活を送っているし、親類縁者が近くにいるわけでもなく、ご近所付き合いも希薄なのだから、自分にも孤独死の最期が待っているのかもしれないけれど…
☆どなたか、私がこのサイトに投稿しなくなったら、気づいてくださるだろうか☆彡

これまでも逞しい女性を演じてきたフランシス・マクドーマンドが、かなり身体を張って演じている。彼女以外のノマドたちはほぼ本物だというから、マクドーマンドの「うるるん滞在記」なのだと思うと、物語とは別の面白さがある。
自分も「体験入学」程度ならやってみたい気はするが、きっと耐えられないだろう。

kazz
masamiさんのコメント
2021年4月13日

kazz様コメントありがとうございます😸
車上生活は厳しそうです。劇中では触れていませんがアメリカは銃社会。現在はアジア人が差別されていますし。
関係ないんですが「女子柔道部物語」は面白いですね。

masami
bloodtrailさんのコメント
2021年4月7日

kazzさんへ
酷暑/極寒期の車上生活は、生命の危機と隣り合わせでしょうね、間違い無く。VANのエアコンやヒーター程度の出力じゃ、歯が立たないです。私も耐えられないですw

bloodtrail