劇場公開日 2021年3月26日

「2008年」ノマドランド かほるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.02008年

2021年4月3日
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その年に私は再就職し、半年もたたずにリーマンショックというものの凄まじさを知った。
突然翌日に職を無くすということの恐怖、しかもこれから退職金をもらってゆっくり余生をすごそうという時期にそのようなことに直面した場合、どう生きていくか。
主人公はどちらかと言えば寡黙で、そして理知的な女性。
ストーリーの中で関わる人達は、自分の思いをそれぞれ皆に語っていくのだが、彼女はそれをただ淡々と聴いていく。
流れる美しい景色と、ゆったり流れる時間に、彼女の心はなかなか読めない。
途中いくつかのアクシデントがあるが、それも自分のなかで咀嚼し、糧にしていく。

観ている途中、何度も自分に当てはめてみた。自分には彼女のように生きられるだろうか、いや、出来ないだろうなと。

一度ノマドになっても、家族に迎え入れられて屋根のある生活に馴染んでいく人もいる。
彼女を迎え入れるよう計らってくれる優しい人たちもいる。

ストーリーの終盤、彼女は自らの口で自分の過去を語る。
そこで彼女は決心した様子で、今は亡き夫と暮らした地へ赴く。

観賞後、再び自分ならどうするか考えたが、やっぱり私には彼女のようには出来ない。
本当の自由とは、とてもとても勇気のいることだと思う。
言葉足らずで言いたいことが言い切れていないが、この作品を通して、自分を見つめる今後の課題ができたと思う。

ゆの