「【邂逅と別れ、そして、再会】」ノマドランド ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【邂逅と別れ、そして、再会】
自分の言葉の表現力のなさに嫌気がさすことがある。
この映画はそうだ。
重厚な映像や演技が、軽いタッチの上っ面の評価など受け付けない気がする。
そんな作品だ。
エンディングに向かう場面、深く息をしながら、目頭が熱くなるのを感じた。
大切な人を思い出す。
自分の魂と向き合うことになる。
(以下ネタバレ)
事業閉鎖や、金融危機の話題が出る場面がある。
ギグ・エコノミーに搾取されているように見える場面もある。
しかし、彼等は、決して自分の境遇を呪って彷徨っているわけではないのだ。
いや、彼等は、彷徨ってなどいない。
魂の行き着く場所を探し求めているのかもしれないが、しっかり生きているのだ。
そういう意味で、ホームレスやヒッピーではなく、遊牧民になぞらえたノマドという呼び方は合っているかもしれない。
彼等は、喪失感と向き合い、或いは、向き合える時を待ちながら、しっかりと生きているのだ。
邂逅と、さよなら、そして、再会を繰り返しながら。
「さよならは、最後のさよならではないのだ」との言葉は胸を打つ。
いつか、その魂は、大切な人と再び巡り会うことが出来るかもしれない。
それは、いつになるのか、誰にも分からない。
だが、いつの日か、その時が必ず来るのだと祈りたくなる。
それは、自分自身に向けられた祈りでもある気がする。
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