劇場公開日 2021年3月26日

「内容・質ともに文句のつけようが─」ノマドランド SHさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0内容・質ともに文句のつけようが─

2021年3月28日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

知的

映画って何なんだろうってあまり考えないし、そんな徒労したくないけれど、この作品を見ていると、映画って楽しんだり感情を動かすことももちろんのこと、学びでもあるんだなぁと実感してしまいました。
真似るとか暗記するとか身につけるとかとは違った、学び?感化されるとか、ふるえあがる、何かをしたくなるというもの。
何か突き動かされるような感覚になるような気がしました。
今のアメリカ、アメリカそのもの、のみならず、現代社会の実状、将来、生き方、人生・・・
知ったところでどうこうなるものでもないし、記憶していたところで役に立つかどうか分からないけれど、この作品を見たことによる影響は自分の中で確実にあるような気がしています。
そんな小難しいことなどありつつ、さらに単純に楽しめるし、質の良い映像と音楽で感情が刺激され、感動的な作品でした。
どうしてもスリー・ビルボードと比較してしまいますが、そうすることで一層マクドーマンドの凄さ素晴らしさ魅力が実感できるのではないでしょうか?
広大なアメリカの大地とは対照的に小さな存在として描かれているファーン、しかしながら力強い山々や荒涼とした地平線に決して負けないものがありました。マクドーマンドでなければ成立しなかったかもと思うのは大げさでしょうか─。
少ない台詞、断片的な描き方なのに、内容が非常に分かりやすくて、驚愕してしまいます。説明など皆無なのに、内容がよく分かる。テーマが重いし難しいので、この分かりやすさは実に有り難くて、だからこそ感動してしまいます。
一言でノマドというものを語り尽くせないところもにじみ出ていたし、ホント静寂続きで飽きそうなんだけど、ずっと引きつけられたし、とにかくモンスター級の映画だったという印象です。

SH