劇場公開日 2021年3月26日

「ドキュメンタリーでもあり、フィクションでもあるノマドランド」ノマドランド 七星 亜李さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ドキュメンタリーでもあり、フィクションでもあるノマドランド

2021年3月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

家がない。常に漂流しているノマド。
非正規社員として、不定期にその都度、その都度お金を稼ぐために働く。
リーマンショックの影響で、企業が倒産してしまう、城下町が全てなくなってしまう。
その状況に巻き込まれて、家や家族や地域のコミュニティ全てを失ってしまい、思い描いていた老後とは、全く違った世界で暮らすことになってしまった人たち。
キャンピングカーで生活するというホームレスではないけど、ハウスレスな暮らしは、ノマドという遊牧民的なのどかな暮らしとは程遠いものだと思う。

ある部分、過酷で孤独だと思う。
社会としての問題を感じるところも多い。
ただ、その部分を超えて、自分の最期は自分で選ぶという、突き抜けた自由さを感じるのは、楽観的に見すぎているのだろうか?
ギリギリの生活をしながらも、生きながらえていくノマドという生き方は、
この映画で見る以上に過酷だと思うが、その中で出会う人たちとのふれ合いは、家に閉じこもっていても出会えないもののように思う。

老後に豊かであるということを金銭的なことを基準にみれば、豊かではないんだけど、
それが不幸なのかというと、そう決めつけて見ることも違うのかもしれない。

人間て、どこで最期幸せだったと感じるんだろう。と、ちょっと考えさせられる映画だった。

七星 亜李
みかずきさんのコメント
2022年10月3日

七星 亜季さん
みかずきです

フォローありがとうございます。

10年近く、キネマ旬報、kinenote、yahoo映画レビューなどに映画レビューを投稿しています。現在の目標は、キネマ旬報への2回目の掲載です。
こちらのサイトには、今年2月に登録しました。
宜しくお願いします。

-以上-

みかずき
みかずきさんのコメント
2022年10月2日

はじめまして、七星亜季さん
みかずきです

確かに、現代のノマド=車上生活者になった主人公は物質的には豊かではありません。

しかし、主人公は、大自然に抱かれて、人と触れ合い、喜怒哀楽を感じながら、毎日を懸命に生きています。生きるって、生きる原点ってこういうことなんだなと感じました。物欲多き現代人としては、主人公の生き方に憧れるところが多々ありました。生きることについて考えさせられる作品でした。

-以上-

みかずき
talismanさんのコメント
2021年3月28日

コメントありがとうございます。勉強不足ですが、資本主義が貧困ノマドを生んだのにも関わらず、彼らは資本主義の枠組みの中で生きざるを得ない、という意味で書きました。

talisman
グレシャムの法則さんのコメント
2021年3月27日

まだ体力はそこそこある、経済的にもさして困っていない、ただ、家族から相手にしてもらえない、或いは余裕があるがゆえに別宅や別室で分離生活をして話し相手がいない、なんて年寄りが日本には結構いそうです。かと言って、そんな家族からは、ノマドみたいな訳の分からないことはやめてね❗️と絶対に反対される。(と思う)
過酷と孤独、安定と漠然とした歯痒さ。
老後の生き方についてもっと多様な選択肢の議論があってもいいと思いました。
気づきをいただけるレビューに感謝です

グレシャムの法則
talismanさんのコメント
2021年3月27日

過酷で孤独だけれど、自分の人生の〆方は自分で決めたいという姿に、私も清々しさを覚えました。

talisman