アイダよ、何処へ?のレビュー・感想・評価
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強い女性だ。しかし、演出の方は、いたずらにナショナリズムをあおって...
強い女性だ。しかし、演出の方は、いたずらにナショナリズムをあおっていない。自分の血は途絶えても、次の平和に繋げて行こうとする姿に感銘を受ける。
歴史は変えられるものではないが、オランダがあてにならないのなら、セルビアを利用すれば良かったのにと感じた。
兎に角、どんな手を使っても、生き延びる事が先決。この演者は笑い顔を殺して、鬼の形相で演じきり、鬼の目に涙をためて、最後に幼い子供達の平和な笑顔に心から微笑もうとするが、それがぎこちなく感じる。
この事件の実質的な指導者は、この映画に登場するムラディビッチだが、
彼は2021年に終身刑を言い渡されている。兎に角、内戦と言っても、ボスニア・ヘルツェゴビナに住んでいるセルビア人で、『この土地はセルビア人の領土だ』と主張する者たちの愚行。さて、セルビアは、現在のロシアどの関係は余り良くないようだが、国旗の類似性とは無縁と考えるべきだ。演出家は意図して使ったのか?と思ってしまう程類似している、オランダ、ロシア、ユーゴスラビア、フランスの国旗が類似する。あど、ルクセンブルクも。あれ?と思える程た。
セルビアは中国ともロシアともミロシェビッチの時代から癒着していた訳では無い。また、ユーゴスラビアの時代はソ連とはかけはねれた社会主義を目指していた。
本当にこの映画の様な形で虐殺があったかは分からない。仮にあの様に虐殺したのなら、一回に1000人の犠牲者としても8回の穴掘りをする事になる。残されたセルビア兵のみでは、労力が足らない。
また、この国連基地にはオランダ兵だけだったのか?NATO軍は何処にいるのが?それが気になった。
また、ロシアとウクライナの関係と関連付ける方も多くいると思うが、それは短絡的な考えであり、現状のセルビアの姿を意図的に貶めようとする考えかもしれない。
すごかった
国連軍が全くあてにならない。全然やる気がなく、それが世界の現実みたいだ。あてにするとバカを見るので、危機が訪れた場合は極力誰もいない山に、食料とサバイバル用品を車に積んで逃げて誰にも会わずに落ち着くまで引っ込んでいるのが一番だ。自分の身は自分で守るしかない。
現在ウクライナがロシアに攻め込まれて大変なことになっている。ロシアが常任理事国だから国連がそもそも出動しないけど、国連はあてにならないので、むしろ出動しない方がいいような気すらする。
アイダの教え子が敵軍にいて親しく会話するのだけど、腹を割れない怖さがある。
しばらく不在にしていたマンションに他人が我が物顔で暮らしているのが怖い。
直接的な戦場描写はないのだけど、戦争のリアルを肌身に感じる恐ろしい映画だ。
アイダはそれでもどこへも行けない
旧ユーゴスラビアのセルビア・ヘルツェゴビナの独立に際して、内紛・内戦の終わり頃に起きたスレブレニツァの虐殺(ジェノサイド)を国連保護軍(オランダ軍)の通訳をしていたアイダという高校の先生だった女性を事実に忠実に描くことに女性監督が心血を注いだ映画。
スレブレニツァはボシュニャク人居住地であったが、勢力を拡大したセルビア人のスルプスカ共和国軍に包囲され、孤立してしまった。スレブレニツァは国連が安全地帯としたものの、その実態は200人のオランダ軍兵士と200人程度の軽装の現地の兵士で、映像でも若い女性兵士もいた。物資や食料の調達経路を絶たれ孤立していた。国連保護軍は全く機能していなかった。スルプスカ共和国軍(セルビア勢力)のリーダーは大統領のラドヴァン・カラジッチ。詩人でかつ精神科医とWikiにある。映画の冒頭、危機感を強くしているボシュニャク代表が国連保護軍の大佐に早急な打開を求める話し会いの場面では通訳をするアイダは少しでも有利な情報を得ようと神経を尖らせている様子。大佐は自分には作戦の決定権がなく、セルビア勢力への空爆による反撃を待つしかない単なる伝令であることを卑下してか、「私はピアニストだ」と言うありさま。ほんとに情けない。
セルビア人はついにスレブレニツァの市街地を占領し、大勢のボシュニャク人は安全地帯の国連施設に逃げてくるが、施設には4000から5000人がすし詰め状態で、柵の外にはその何倍もの大勢の老若男女が立ち往生。水も食べ物もない、トイレもない。破水し、施設で出産する女性。医師、看護師はわずかにいるが、傷病人の手当てもままならず。タバコばっかり吸ってるし、アイダの前で平然とイチャつく。アイダも呆れて、笑うしかない。
高校の校長の夫や二人の息子を助けるために国連職員のIDを発行してもらって、職員リストに載せ、撤退するであろうオランダ国連軍とともに家族を安全に避難させようとなりふり構わず奮闘するアイダ。険しい表情や強引な態度に凄まじい肝っ玉を感じた。それだけ、男は殺されるという確信が彼女にはあったということ。繰り返される報復合戦。我々日本人にはパレスチナ以上に複雑で、分かりにくい旧ユーゴスラビア。
掘り返された人骨と服が安置された体育館。夫や息子の遺骨を探して歩き回る女たち。息子の遺骨を見つけ、へたれこみ嗚咽するアイダ。かつての家には違う家族(セルビア人?)が住んでいた。残していった家族写真などをとっておいてくれていた。小学生の男の子を見るアイダの表情。たった一人になっても生きて行かねばならないアイダ。学校の教師は息子をことあるごとに思い出して、さぞやつらいだろうに。
精神科医で詩人の極悪非道の男、ラドヴァン・カラジッチ。究極のサイコパスか。終身刑が決まったばかりで、当然まだ生きている。潜伏先のセルビアのレオグラードで精神科医、心理士として暮らしていた。理解の範囲をはるかに越える複雑な旧ユーゴスラビア。このジェノサイドはたかだか25年前。
やるせない
ボスニア、セルビア 詳しくないが多分隣人同士の闘いに近いのだと思う。
アイダは平和維持軍(オランダ軍が、活動)で通訳をする元教師。
セルビア軍は平和維持軍との交渉中で責任者が留守
のUN基地に武装して押し寄せる。
元教師のアイダは、武装した元教え子と再会するも、もはや敵味方としての関係性に成り下がった哀しみ。
何を言っても聞き入れない、現場の責任者は断固侵入を阻止する気持ちだが、別場所で交渉をしているトップは何を考えているのか、ここで中に入るのを断ったら交渉が途絶えると思ったか、侵入を許可する。
もうお終い、ジ・エンドだ。
丸腰で平和維持テリトリーにせっかく避難してきた人々を武装した敵に晒して!
もう平和維持軍もマスメディアもセルビア軍の勝手な行動を止められない。
平和維持軍の周囲を守る兵士もヘルメットと銃で辛うじて体裁を保っているが少女なのだから。
(おそらく平和維持軍に雇ってもらい身の安全を確保した現地の人なのかな)
アイダはズルをしてなんとか家族を国連関係者としてオランダ軍と共に、避難所である基地敷地から脱出させようとする、関係者ID不正取得何も試みる。
何とかなるのかと思ったが厳格だ、それは許されない。
『国連IDの信頼が根本から覆ってしまう』
そうか…確かに。そこはもう守られなければならない。
虐殺の場所は、普通に人が生活している街の中にある建物だ。押し込められ閉じ込められた人々は上方の窓から機関銃でダダダダダと射殺されるのだ、
惨すぎて思考が停止する。
建物の外では銃の音なんか聞き慣れてしまった人がベランダで寛ぎ、子供が道端で遊んでいる。
最初は主人公アイダの鋭い目、映画ポスターにもなるこの顔からは国連という強い使命感を持った人の話なのかと思ったが、あまりにも自分の家族のことしか考えていないことが何か嫌だったけど、映画を観終えて少したつとリアルなのはこれなのかもな、と思えてきた。
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