「ガチャポン」アイダよ、何処へ? Mさんの映画レビュー(感想・評価)
ガチャポン
初めて「親ガチャ」という言葉を聞いた時、「何それ?」と思った。そんな、ガチャポンなんかで運命を決められてたまるか!という思いだった。
最近、「国ガチャ」という言葉を知った。いつどこの国で生まれるか、というガチャポンだそうだ。私は今、暖かな部屋でスマホを使ってこのレビューを書いている。しかし、もし私が今のガザ地区に生まれていたら。30年前のユーゴスラビアに生まれていたら。80年前の日本に生まれていたら。今この時、戦いに怯えなが逃げまどう人々もいるのだ。
今の日本に生まれ育った私は、実際の戦争がどんなものか全く知らない。それはとても幸せなことだ。
主人公アイダは、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の時、国連軍の通訳として働いていた人だ。高校の校長だった夫と高校生くらいの息子2人の4人家族。住んでいたスレブレニツァにセルビア軍が迫ってきたため、国連の監視下にある基地に逃げ延びている。
この映画はそれからの数日を中心とした物語。
「親ガチャ」を否定した私だが、この映画を見ながら、本当に「国ガチャ」というのはあるのかもしれないと考え始めていた。しかし、決してそれがあきらめであってはならないとも思う。できることがある人は、何かできることをしなければならないのだ。
ウクライナで、イスラエルで、ミャンマーで、今この時も命をかけた戦いをしている人がいる。それを「国ガチャ」の一言で終わらせてよいはずがない。
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