劇場公開日 2021年9月17日

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「エピローグに胸が一杯」アイダよ、何処へ? 葵蘭シネマさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エピローグに胸が一杯

2021年9月26日
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鑑賞方法:映画館

ボスニア内戦末期に起こった、セルビア人勢力によるムスリムに対するジェノサイドを取り上げた作品で、ジュバニッチ監督のボスニア内戦関連作品の集大成とも言える作品。

凄惨な描写はあえて避けているのでしょうが、その内容は非常に残酷で救いのない物語…
そして、国連などという代物がク◯の役にも立たないことを鮮明に写している物語でもありますね…苦笑

主人公アイダを演じたヤスナ・ジュリチッチはセルビア人でありながら、アイダ役を受けたことで母国で酷いバッシングを受けたそう…
おそらくそうなることは分かっていたはずで相当の覚悟を持って演じたと推測しますが、その覚悟のほどがアイダの凄みとなって圧倒的な芝居に繋がったのでしょう。

因みに、セルビア人勢力の無慈悲な将軍・ムラディッチを演じたボリス・イサコヴィッチはジュリチッチの夫。彼もまた母国で政治的圧力を受けているそう…

劇中、セルビア人勢力の中にはムスリム側の元クラスメートや、アイダが教鞭をとっていた時代の教え子がいて、お隣さんとの世間話のように会話していたりするのと対照的な悲劇的結末が自分の中で上手くリンク出来ない…

故郷に帰り再び教師となったアイダを追ったエピローグが秀逸で胸が一杯に。
鑑賞するべき作品と思います。

葵蘭シネマ