「やるせない」アイダよ、何処へ? まゆこっちさんの映画レビュー(感想・評価)
やるせない
ボスニア、セルビア 詳しくないが多分隣人同士の闘いに近いのだと思う。
アイダは平和維持軍(オランダ軍が、活動)で通訳をする元教師。
セルビア軍は平和維持軍との交渉中で責任者が留守
のUN基地に武装して押し寄せる。
元教師のアイダは、武装した元教え子と再会するも、もはや敵味方としての関係性に成り下がった哀しみ。
何を言っても聞き入れない、現場の責任者は断固侵入を阻止する気持ちだが、別場所で交渉をしているトップは何を考えているのか、ここで中に入るのを断ったら交渉が途絶えると思ったか、侵入を許可する。
もうお終い、ジ・エンドだ。
丸腰で平和維持テリトリーにせっかく避難してきた人々を武装した敵に晒して!
もう平和維持軍もマスメディアもセルビア軍の勝手な行動を止められない。
平和維持軍の周囲を守る兵士もヘルメットと銃で辛うじて体裁を保っているが少女なのだから。
(おそらく平和維持軍に雇ってもらい身の安全を確保した現地の人なのかな)
アイダはズルをしてなんとか家族を国連関係者としてオランダ軍と共に、避難所である基地敷地から脱出させようとする、関係者ID不正取得何も試みる。
何とかなるのかと思ったが厳格だ、それは許されない。
『国連IDの信頼が根本から覆ってしまう』
そうか…確かに。そこはもう守られなければならない。
虐殺の場所は、普通に人が生活している街の中にある建物だ。押し込められ閉じ込められた人々は上方の窓から機関銃でダダダダダと射殺されるのだ、
惨すぎて思考が停止する。
建物の外では銃の音なんか聞き慣れてしまった人がベランダで寛ぎ、子供が道端で遊んでいる。
最初は主人公アイダの鋭い目、映画ポスターにもなるこの顔からは国連という強い使命感を持った人の話なのかと思ったが、あまりにも自分の家族のことしか考えていないことが何か嫌だったけど、映画を観終えて少したつとリアルなのはこれなのかもな、と思えてきた。