「アラーを賛美する言葉が字幕から消えた。マジディ監督の新しい幕開け?」Sun Children Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
アラーを賛美する言葉が字幕から消えた。マジディ監督の新しい幕開け?
マジディ監督は社会の課題を一つ一つこの作品の中で、我々に与えて目をそらすなよ。直視せよと言ってくれていると思う。この手法はよく監督に見られる。日本で生存している人では是枝監督。黒澤明小林正樹今井正監督も社会問題にかけては世界の監督と言っていい。これらの大御所は日本社会の問題点に蓋をせず透明化したり、気づかせたりして聴衆の心を引きつけた。
しかし、大切なのは私たちで、一人一人が何かできるだろうか?ここだと思う。
マジディ監督の映画は安心して見られると思っていた。ちょっと怖そうだったり危険だと思ったりしても主人公たちは神のみ手の中にあり信じれば救われるという結論になる。イランの文化の、特にモスリム色の強くなった時代に政府や主な大衆から賛美されたと思う。下記の作品はその傾向がとても強く、悪いものには蓋をしてくれていたから、落ちついて(?)観賞できた。
Khoda miad(原題)
運動靴と赤い金魚Bacheha-Ye aseman/Children of Heaven
太陽は、ぼくの瞳THE COLOUR OF PARADISE
少女の髪どめBARAN
The Willow Tree(英題)Beed-e majnoon
すずめの唄Avaze gonjeshk-ha/The Song Of Sparrows
(モフセンやラスロフやパナピ監督はイラン政府から圧力をかけられた。)
しかし、この映画の最初に書かれていた字幕は152 ミリオンの児童労働者に捧げるとなっていた。アラーの御前で祈る言葉が字幕になく、少し今までのと違うかなと思わせた。先が見えないかもしれないとも思わせた。
映画は、ショッピングセンターに止めてあったベンツのタイヤを盗むシーンから始まる。アリ(Rouhollah Zamani )は宝を掘るために、小学校『太陽の学校』に強引に入学させてもらう。アリは学校にお金で入れてもらおうとするところはおかしくなる。デレクターはその手にはのらず一撃する。しかし、副校長Rafie(Javad Ezzati )はどうにかできないものかと何か考えている様子である。入学後副校長はアリの持ち物の武器や行動に興味を持つ。アリはストリート・キッズでどこにも行くところがなく、処世術を身につけている。他の生徒を三人も殴った時も、殴り方をサッカーのプロ、Zeidanの動きから学んだようだ。このシーンは好きなところで、副校長はアリより処世術を身につけていないので感心しているようなやってみたいような不思議なそぶりを見せる。Javad Ezzatiという俳優は有名らしいが全く知らなかった。でも、いい味を出しいているね。
学校側はイラン人とアフガニスタン人を同様に扱うように指導をしている。日本のニュースなどで見ると、時々、教師が差別をして人権意識が薄いが、この学校は違う。州政府の援助金がとどこおっていて、私的援助で成り立っているから経営難に陥っている。ある日、学校側は立ち退きを命じられる。8ヶ月も家賃を払っていないのだ。生徒は勉強できない。法律的に契約を履行せよで大騒ぎ。デレクターは生徒に門を登らせ校庭に入らせる。このシーンは美しく輝いているシーンで生徒の学ぶ意欲をあげるように見える。路上生活の280人子供達に麻薬などにNO といえるスキルや犯罪行為に手を染めるななど教える。三年間の間、多くの成果を上げた。でも、今金がなくて学校を閉じなければならない。助けてくれあと一週間しかないとビデオメッセージをディレクターは作る。
ディレクターは学校たて直すにベストと市議会?の一員となる欲が出る。それに副校長はサハラ(Shamila Shirzad)の屈辱(髪を切られ丸坊主に)を晴らすため警察をアリから学んだ方法で殴ったため、連行されてしまう。数学が得意なアボルファーズをイスファハーン(IIsfahan)の数学専門の学校に試験を受けさせ入れると言っていたが、アボルファーズとザハラの家族は皆が帰るからと言ってアフガニスタンに帰ってしまう。
生徒は誰一人裕福なものはいなく、アリのグループも全員父親が不在だったり、亡くなったりしている。家族がいるものは父親に対する愛が深い。それに、生徒が働いて家族を養っている始末。 でも、アフガニスタン難民のアボルファーズ(Abolfazl) はタイルの仕事をしていたから、それを数学に応用できる賢さを持っている。それに、彼のお姉さんのザハラ(Shamila Shirzad)もイランにおける難民としての立場を理解していて、アリと同じことをすれば出国させられるという危険性を抱えている。アリも難民の立場を理解して協力する。
アリは親分ハッセム(Ali Nassirian )の片棒を担がされる。お母さんと一緒に住めるという言葉にまんまと引っかかってしまうが、そりゃあそうさ。母親と一緒に住みたいよね。学校の地下道に潜入して、宝を掘り当てたが、それはハッセムと仲間の無くした麻薬だった。 白い粉を体に浴びて泣き叫ぶアリは演技がうまいね。母親がリハビリにいるのは麻薬(?)のせいなんだよ。それはアリにとって宝じゃないんだよ。
副校長が直せなかった、学校のベルを最も簡単に直して、誰もいない学校でベルを響かせてこの映画は終わる。この解釈は人によるが、アリの目を見ればわかる。アリはへこたれないし、何かを考えている目つきだった。