「裏口」親愛なる同志たちへ Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
裏口
構図が実に巧みである。自我の強さを示し自立しうる者のようでもあるが、大きな社会の枠組みの優越する階層に属し、その特権を自己に有利に使う。フルチショフ時代にあってスターリンを懐古する錯誤感。結局は巨大な機構のピースでしかなく、隠蔽を至上命題とする局員とメンタリティに本質的に違いがない。日常から非日常への移行の描き方が上手い。そしてその機構が今度は自らを押し潰し始める。追い込まれ独り湖で身を沈める絵が美しい。依存し、従属した機構から自己を切り離す勇気が問われる。父の世俗への絶望。巨大なマシーンに依るところからは脱しないロシア。今もまだ続く。
コメントする