「切実さに圧倒された年間ベスト級」親愛なる同志たちへ タカシさんの映画レビュー(感想・評価)
切実さに圧倒された年間ベスト級
スタンダードモノクロ。パリ、13区で書いたがモノクロの作品は最近全く珍しくない。スタンダードだって珍しくない。そんな中でしかもウクライナ侵攻中のロシアの歴史を描くのだが、これがとんでもなく素晴らしかった。
映画、歴史、ソ連全てに対して向き合う。いちいち画に圧倒される。スタンダードは人を写すのに適しているが、風景には向いていないと読み齧ったことがあるが、重層的な空間が素晴らしい。
母でもあり党に誠実な女性の主人公の対比なのか男性陣がどうすることもできなく諦観に飲まれてしまう態度なんて、身に覚えがある。父親がレーニン時代を懐かしみ当時の軍服を着るのなんて、おかしみもあるのに悲しい。
隠蔽は国家の専売特許ではなく、どんな組織でもある。さらにこの弾圧は今のロシアでも続いている。徹底的に組織の構造を描く正面突破の姿勢も素晴らしい。
共産主義体制は国民に求めるレベルが高く、思想が狭すぎることが運営の難しさのようにも思った。
年間ベスト級の作品だった。
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