「台詞の乗せ方がホントに上手!」私をくいとめて マツナミコさんの映画レビュー(感想・評価)
台詞の乗せ方がホントに上手!
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「今日の空が一番好き…」がとても良かったので、大九監督のこの映画を鑑賞しました。
「私をくいとめて」も「今日の空が一番好き…」も原作を読んではいませんが、大九監督は原作小説の本質を十分に理解した上で映画を撮ってるんだと感じます。
台詞は原作通りだと思うのですが、その台詞の熱量がきちんと映画に乗っかってる感じがするんですよね。
「おひとりさま」って言い換えれば、パーソナル・スペースの各々のマネジメントの程度になると思うんです。
そのスペースに他人をどれくらい侵入させるのか?どのくらいのペースで、どの領域まで、その境界線を越えさせるのか?
その程度が、その人の仕事のスタイルとか、結婚観とか、友人関係等といった、人生の設計図に影響してくるのだと思います。
その人生の設計図を、あつ子とあつ子の脳内相談役Aとで日進月歩で、時には友人、先輩、肉屋の岡野、吉住、多田くん等と交わりながら、書き換えていくそんな物語をとても上手に描いています。
ある意味で、セックスというのはパーソナルスペースの完全開放を意味しているのだとしたら、あつ子のあのホテルでの取り乱し方は、これまでのあつ子がパーソナル・スペースを頑なに守ってきた頑固さの裏返しなのでしょう。
そう思うと、これまで彼女が敢えて向き合って来なかった「孤独」の清算をさせられているようで、なんだか胸が締め付けられる思いでした。
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