THE CAVE サッカー少年救出までの18日間のレビュー・感想・評価
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淡々と明らかになる真相。奇跡と感動の救出劇、その裏側。
【賛否両論チェック】
賛:少年達救出のために尽力した人々の軌跡が、等身大で描かれていくのが印象的。人々の“祈り”がテーマになっているのも、タイならではか。
否:物語自体はかなり淡々と進んでいくので、実際の緊迫感が今ひとつ伝わりにくいか。
経験豊富なダイバーでさえ、実際に命を落としてしまったほど過酷な現場にあって、少年達を助けるために奔走したダイバー達や、それを支えた様々な人々の姿を、まるでドキュメンタリーのように淡々と描いていくのが印象的です。ただ物語の演出としては、実際の緊迫感が今ひとつ感じにくいのも、致し方ないような気もしました。
そして本作では、“祈り”というものが1つのテーマになっているようで、その辺りもやはりタイならではだなと感じました。個人的には、洞窟からの排水で田畑がダメになった近隣住民が、
「作物がダメになったら、また育てればいい。でも少年達の命はそうはいかない。」
と言って、給付金を断るシーンが心に残りました。
実際に起きた事故なので、勿論結末を知ってはいるものの、それでもラストは大きな感動が押し寄せてきます。ニュースをご存知の方は、是非ご覧になっていただきたい、そんな作品です。
なぜ救出が困難なのか?
実話なので実際に事故が発生した際のニュースで見て、何故救出が困難なのかは分かっているけど、この映画だけ見た場合にはそれが全く伝わらないと思う。
当事者が実際に出演しているようだけど、素人には自分の役であってもやらせるもんじゃないと感じる酷さ。
1人ずつ奥から運んでくる際も緊迫感も無く、ダイバーが取って付けたように死んでしまうのもなんだかなぁ。
ドキュメンタリーならそれに徹した方が良かったのではないだろうか。
日本だったら「自助でなんとかしてください」と総理が発言しそう
思えば映画化もされた『チリ33人 希望の軌跡』という作品もありましたけど、こうして全世界が注目する中での救出劇はほんとに心が苦しくなってしまいます。チリの映画は感動的なものにしようとして、人間関係をも映画っぽく描いたものでしたが、こちらはほぼ再現ドラマ!その素朴で事実に沿って淡々と描く中に真実を見た気がします。
まずはタイの軍隊やボランティアの人々が集まり、アメリカ軍まで呼んだだりして、色んな策が練られていく。まずは洞窟に溜まった水を吸い出すこと。ここでは「ターボジェット・ポンプじゃなきゃ無理だ」と嘆く中小企業の社長さんがナイスプレイ。人々の彼らを救いたいという切なる願いが民間人をも動かしていく。そして排水がある程度成功したものの、近くの農地は洪水の被害にあうのに、損賠賠償は要らないと言う。救出してくれさえすればそれでいい・・・
こうして入り口から4キロも先の奥底に閉じ込められた少年たち13人を救うには潜水しかないということになり、世界各国からケイブ・ダイバーが集まってくる。もっともカッコいいのはアイルランドのリーアム・ニーソン似のジム・ウォーニー(本人)。とにかく世界中から集まってくるところに感動してしまいます。
世界からの祈り、助かってほしいとの声がメディアでも紹介されるが、日本だけは「自己責任論」をぶつけてくる人が多い。なんでだろ・・・祝福メッセージは世界規模なのに、しかもあのトランプ大統領でさえも祝福していたのに・・・。少年たちが悪い、コーチが悪い、といった声が全くあがらない世界に住みたいものだ。
スペシャリスト
2018年6月にタイで発生した少年サッカーチームのメンバーとコーチ13人の遭難事故「タムルアン洞窟遭難事故」の救出までの様子を再現した話。
たったの2年強前、日本でも散々報じられた出来事だけど、森林公園内の洞窟で、入口付近は観光スポット的にある程度整備された場所だったんですね。
実際に関わった数人が本人役で出演しているが為か、前半ではもの凄くポンプ屋の方がフィーチャーされた感じだけど…タイの行政トロ過ぎる…。
そしてダイビングが始まって、やはり行政の判断がトロ過ぎる印象
タイ人ダイバーが亡くなったのはボンベの空気切れという記憶があったけど、その辺はあまり明確にされないし、イギリス人ダイバーが到着した際に本人への説明の体で若干示されたけれど、もうちょっと状況を見取り図とかセリフで判りやすくみせて欲しかったし、救出そのものの様子ももう少し再現して欲しかったかな。
タイというお国柄もあるし、自分が信心深いタイプではないからそう感じたのかも知れないけど、命がけで救助に当たる人達のところにわざわざやって来て、祈祷する人達とか失礼過ぎる。
宝くじに至ってはは呆れるばかり。
まあこれが、精神的に経済的に貧しい人達の現実なんだろうけど。
排水の影響で水田が潰れたとかは知らなかったからみせてくれて良かった。
あまり誇張されずにつくられていたのは良かったけれど、見たい、知りたい、感じたいところに手が届かず、ちょっともの足りなかったかな。
実話に基づいたとてもよかった映画+日本も考えないと。
今年50本目は色々悩みました。「実話ベース」「感動もの」といろいろ考えましたがこちらを選びました。実際、正解だったようです。
多くの方が書いている通り、実話に基づくお話(洞窟の遭難事故)です。
タイをはじめとする東南アジアには特有の雨季があり、それによるトラブル(冠水事故、農業が成り立たない等)もあるようです。ただ、それは自然災害であり避けることができませんが、それを教訓に「この場合はこうする」「トラブルにならないようにマニュアルを作る」という"減災"の考え方はあります。くしくも日本も梅雨・台風がそうであり、また何度かの大きな地震が多くの人命を奪ったこともあり、自然災害には勝てませんが、ハザードマップの確立や早期避難の概念が確立し、100%とはいえないものの、日本は「減災」の方向に着実に動いています。一方でトラフ地震など潜在的なリスクはまだまだ抱えており(実際におきたら東日本大震災を超えると言われる)、日本もまだまだ考えないといけませんね。
さて、この映画は史実に基づくお話ですが、この史実を伝えるという部分以上に気になったところ、それは「タイの排他的なところ」です。国内でさえ手伝いたいという業者がいるのに「なんとか省の許可がないとダメ」といわれたり、国外からボランティアで手伝いを申し出たのに(一度は)断っていたり、「それどころじゃないでしょ」案件でそんないわゆる、「マニュアル的対応しかできない」ところです。まぁ、いわば縦割り横割り行政や排他的なところですね。ただ、今回の事件が大きな教訓となり、自然災害(特に、タイの場合は雨季には勝てない)に対するレスポンス、つまり日本でいう「減災」の考え方が広まっていったり、「こういう場合には行政の縦割り横割りも国外からの協力もいとわず受け入れる」という方向になっていくのでしょう。
※ タイは「発展途上国」とはいわれますが、「政治的途上国」ではないので(つまり、国王が好き勝手する支離滅裂国家や、人権侵害が支離滅裂な国ではない)、今回のことをまったく教訓にしない、ということはないと思います。そのために救助隊に1人の犠牲者が出ましたが(史実通り)、その方のご冥福をお祈りするとともに、タイ含めてこうした「自然災害に対してどう対応するか」という「減災の考え方」および、「こういう非常事態には国を超えて助け合う」ことが当たり前になればよいな、と思いました。
評価は下記を考慮して4.5としました。中には1行だけで2点とかつけている方もいますが、私はそういうのは好きではないので客観的に考えて根拠も示して点数も示しています。
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0.2点減: 今回の実話に基づくこの事件が起きたときは、まだタイが「国の許可を取れだの(いわゆる行政の縦割り横割り)、外国の助けはいらない」だの言いじめたことでさらに問題が複雑化したのですが、そこの問題提起がちょっと足りていないように思えました。
もちろん、あまり触れたくない問題(たとえば、宗教に関することなど)であればわかるのですが、タイとしてもこのことは重く受け止めて「自然災害(雨季)がおきたらこうする」ということは考えていくようになったのは明らかであり、タイ(という国の政府)がそれに待った、つまり「それは描写するな」と言ったとは思えず、ちょっとそこは残念な点ですね(特に誹謗中傷するのでない限り、タイのこの後手後手対応を批判する程度であれば正当な範囲の描写)。
0.1点減: タイの方でもテレビ局の方などは英語を使えるようですが、一部に致命的な文法誤りがあり(動詞 continue の使い方、関係代名詞など)、どちらの解釈も成り立ちうるため(当方準1持ち)、「字幕が正しいのか発言が正しいのか」で矛盾する点があるところです。ただ、ここはかなりマニアックな点かと思います。
※ 興味がある方は、「関係代名詞 which の非制限用法」などでググってみてください(日本の大学入試でも出題される難解論点だし、英語がいかにグローバル言語だとしてもタイでそんなに厳密な英文法を求めるのも酷なので、あまりそこは気にしないですが…)。
0.2点減: 実はこれなのですが、タイが舞台の映画であるため、タイ人の方は多くの方がタイ語を話しますが、中には新聞記者・ニュース報道などでは英語を話している人もいます。一方で海外からきたレスキュー隊は(一部を除いて)英語です。
このような場合、英語の字幕はそのままとし、それ以外の言語は《○○○》などとするのが普通だと思うのですが(その○○○に該当する部分に英語翻訳と日本語翻訳を入れる)、それがない以上に、ごく一般的な語句はタイ語にも入っているようで(たとえば、タイ人の農民?の方がスマホで話しているときに Hello? などと言っているのは、おそらく英語からタイ語に来たのでしょう。スペルは違うと思いますが)、余計に「何語なのかわからない」状態が生じてしまい、最終最後は「描写されている人の人物像などから英語かタイ語か判断せよ」になってしまっており(例えば、タイの一般の農民が「完全な」英語を話すとは考えにくい)、一方で「片言の英語」も出てくるため(上記のスマホの件)、余計に大混乱し、「言語関係」に無頓着かな…とは思いました(上記の2番目の0.1点減とも関連します)。
※ 例えば、少し前ですが「ANNA」だと、英語中心で、ロシア語の場合だけ《○○○》となって、英語翻訳と日本語訳が併記されており(確認済み)、この混乱は生じません。
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下手な事を言えない感じ
156本目。
洞窟行くぞ。
はぁ?コーチのその一言が始まり?
呆れると言うか、危機意識がないと言うか。
タイの国風なのか、田園風景の長閑さなのか、それ以外か、切迫した感じが全くなく、殆どが大人、役所の事情ばかり。
当事者の子供達、家族の心情は二の次、三の次で他人事で気持ちが入らない。
一大イベント、お祭りかとも思い残念。
中国人も実際はスゴく貢献してるんだろうけど、いなくてもいい感じ。
構成もアメリカ人監督なのか、アメリカのミリタリーっぽい。
ただまあ感心したのは日本車の信頼度位。
作品とは全く関係ないけどね。
再現ドキュメンタリー
もっと押しつけがましい“感動的な”作り話に満ちた作品かと思いきや、本人たちも出演する、誇張のない「再現ドキュメンタリー」的作品であった。
救出時には、鎮静剤で眠らせていたとは知らなかった。
ゲートや受付の人間の、悪しき官僚主義もしっかり描かれている。
神頼み(仏頼み)の人々の存在が目立つのは、お国柄なのか?
救出され、緊張から解放されたコーチのせきあげる“うれし涙”のラストシーンは、とてもリアルで圧巻である。
それほどたいした作品とは思わないが、ドキュメンタリータッチのしっかりした作り方には好感だし、そのおかげで、この有名な事件の顛末が分かった。
観て良かったと思う。
13人の命は何よりも代え難いという真実
2018年6月に発生した、タイ王国チェンライ県のタムルアン洞窟の遭難事故を遭難者側の視点ではなく、救助者側にたって描いた作品。
主役の英国ダイバーは本人が演じており、タイに救助に行く決断までの迷い、救助中の苦難の気持ちをプロの俳優顔負けで演じている。
13人を無事に救助するためにタイ国内だけではなく、世界中からあたたかい手が差し伸べられてられていたことにあらためて驚かされる。決して売名行為でもなく、政治的な行為でもなく、純粋に人を助けたいという声は奇跡を超えて多くの困難を貫く強い力となった。
まるで当時の状況を、傍でレポートしているかのような緊迫感が最初から最後まで途切れることなく続く。
もちろん日本からも救助の支援も来ているのでポジティブな面はきちんと評価すべきであるが、こういう事件がおこると必ず出てくる、「自己責任」の声。
当時も某落語家が「どれだけ迷惑をかけているんだ。反省しろ!」と自己責任論をぶっていたのは記憶に新しい。
ダイバーや軍人を派遣した欧米諸国や、多大な動員と経済的負担を負ったタイ国内でも自己責任論はあがっていなかった様子。
「13人の命は何よりも代え難い」というコンセンサスは誰も口にしなくてもとれていたのだ。
対して、なんと心貧しきことか…。
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