劇場公開日 2020年11月13日

  • 予告編を見る

「淡々と明らかになる真相。奇跡と感動の救出劇、その裏側。」THE CAVE サッカー少年救出までの18日間 門倉カド(映画コーディネーター)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0淡々と明らかになる真相。奇跡と感動の救出劇、その裏側。

2021年2月9日
PCから投稿

泣ける

悲しい

知的

【賛否両論チェック】
賛:少年達救出のために尽力した人々の軌跡が、等身大で描かれていくのが印象的。人々の“祈り”がテーマになっているのも、タイならではか。
否:物語自体はかなり淡々と進んでいくので、実際の緊迫感が今ひとつ伝わりにくいか。

 経験豊富なダイバーでさえ、実際に命を落としてしまったほど過酷な現場にあって、少年達を助けるために奔走したダイバー達や、それを支えた様々な人々の姿を、まるでドキュメンタリーのように淡々と描いていくのが印象的です。ただ物語の演出としては、実際の緊迫感が今ひとつ感じにくいのも、致し方ないような気もしました。
 そして本作では、“祈り”というものが1つのテーマになっているようで、その辺りもやはりタイならではだなと感じました。個人的には、洞窟からの排水で田畑がダメになった近隣住民が、
「作物がダメになったら、また育てればいい。でも少年達の命はそうはいかない。」
と言って、給付金を断るシーンが心に残りました。
 実際に起きた事故なので、勿論結末を知ってはいるものの、それでもラストは大きな感動が押し寄せてきます。ニュースをご存知の方は、是非ご覧になっていただきたい、そんな作品です。

門倉カド(映画コーディネーター)