劇場公開日 2020年8月28日

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「バーブラ・ストライサンドの偉大さに震える作品。」ようこそ映画音響の世界へ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5バーブラ・ストライサンドの偉大さに震える作品。

2020年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

狂気の名作として映画史にその名を刻む『地獄の黙示録』が、映画音響の面でも非常に大きな役割を果たしたことを、文字通り体で実感させてくれます。太陽(夕陽?)を背景に飛んでいくヘリコプターの姿を映した『黙示録』のオープニングは、何度見ても鳥肌が立つほど感動的ですが、改めて音楽や効果音にも着目してみると、その凄さに圧倒されます!

これまで歌手として、女優として、また映画監督としてバーブラ・ストライサンドの偉大さについてはある程度理解しているつもりでしたが、本作で彼女が、映画音響の技術的な発展に巨大な足跡を残していたことを知り、今までの浅薄な認識をむしろ恥ずかしく思いました。

本作で語られる内容は、本当に驚くべきことばかりで、これまでの映画の見方が変わる事はもちろん、今後映画作品を見る際の姿勢も変わってしまう人も多いでしょう。

表題の通り、本作は映画音響に携わった人々に焦点を当てたドキュメンタリー作品です。作品は大きく二つのパートに分かれていて、前半は映画音響の発達史を時系列順に示し、そして後半では音響の様々な部門の役割と、それらのつながりについて解説しています。では退屈な技術ドキュメンタリーかと言えば全くそのような事はなく、本作では長々とした説明的な描写はほとんどありません。場面ごとに、最も重要な作品、人物を取り上げて、それらが一体どのように重要であるかを、もちろん劇場のスピーカーを使って体験させてくれます。

『トップガン』の迫力ある排気音が、実際にはどのような素材を使って作り上げられてきたのかを知った時は本当に驚き、またピクサー作品が、単なる効果音だった一つひとつの音に生命力を与える方法を確立したことを知り、非常に感動!

そして作中で映画音響のベテランが語った、「自分の仕事がうまくいったことをどうやって理解するのか?」と言う問いに対する答えが秀逸でした。参考にします!

yui