劇場公開日 2021年6月25日

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「原作未読」夏への扉 キミのいる未来へ よっちゃんイカさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5原作未読

2021年8月5日
iPhoneアプリから投稿

率直にいうと面白みに欠ける。
ストーリー自体はよくまとまってるし、何か大きな破綻や変なところがあるわけではない。
あえて言うなら“整いすぎている”そう思った。
全てのパーツがひとつも逃すことなく埋まっているからこそ物語として盛り上がるところがどこかがわかりにくい。

あと、未来に行くまでの話が長い。
いや、全体を通してみるとあれだけの分量をかけて現代パートをしっかりと描く必要があることはわかる。
しかし、CMでタイムスリップするSF物という知識が入ってしまっているがために「いつ主人公が未来に行くのか」とヤキモキしてしまった。
そういう意味ではこの作品はあまりSFというところを打ち出さずに宣伝するべきだったのかもしれない。(もちろん原作が世界的なベストセラーなのでなかなか難しいことではあると思うが。)

特筆すべきはSFに関する演出と美術。
最初に3億円事件などの史実に混ぜて時間転移装置というフィクションを紹介するので、ロボットの発展具合等々のSFが現実と見事にフィットしていて全く違和感を感じなかった。

さらに、未来の世界の美術も極端にSFにせず、白を基調とした美術によって、ほんのりとSF要素を足しているのが良い。
なんなら作中に登場した自動運転タクシーなんかは本当に4年後には登場していそう。

加えて、藤木直人さんの怪演。
ヒューマロイドという人間とロボットの中間という役柄を動きで気持ち悪くなりすぎず表現していてリアルなSF世界の構築に一役買っていた。

他にもアンドロイドのエキストラの方の動きもレベルが高かった。

よっちゃんイカ