劇場公開日 2021年6月25日

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「面白い。写実的。リアリズム。前日観た抽象的すぎる「アーク」と明白に好対照。「映画は娯楽」こうでなくちゃ。」夏への扉 キミのいる未来へ 満塁本塁打さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5面白い。写実的。リアリズム。前日観た抽象的すぎる「アーク」と明白に好対照。「映画は娯楽」こうでなくちゃ。

2021年6月26日
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楽しい

「アーク」と同時に封切とは運命の皮肉。圧倒的にこの映画「夏への扉」の方が娯楽作としても、人間の心情、愛情の描き方としても上回る。難解な分厚いロシア文学と、漫画本くらいの面白さの違い。

「アーク」が抽象的すぎるのに対し、この映画はわかりやすい。

「アーク」が近未来の描写から徹底的に逃げていたのに対し、この映画では美術や装飾、特殊効果の人がキチンと仕事していていて、細かいガジェットに至るまで描写されていて具体的写実的でわかりやすい。
「アーク」が半端なかなり未来の時代設定でイラつかせるのに対し、こちらは1995年と2025年の設定にこだわり時代考証が具現的。

観ていて視覚として面白いのは映画の基本。1995年は考証が容易で映像化も容易、2025も実際は2035くらいの描写(貨幣が全く無価値、トヨタ製!の自動車の自動運転など。上級国民の人殺しクソじじい、この時代に生まれればよかったね!)だけれどもより現実的な未来描写で面白い。

「アーク」の「不老不死」と、この映画の「冷凍冬眠」と「タイムマシン」「人間型アンドロイド」どちらも飛躍的なのだけれども、どうしてこの映画の方が圧倒的に面白いかというと、細部まで詳細に描いているから。唯一の難点はヒロインの血縁関係と、ロボット会社の乗っ取り、買収合併、新設関係がややこしいこと。あとヒロインの当初の死に様の描写がわかりにくいこと。

子供のいない夫婦、成就が難しい恋愛の人情劇としてもいい。山﨑賢人、清原果耶よりも、アンドロイドロボット役の藤木直人、それと猫のピート(2匹らしい)が好演していて光る。ただ事前の無料の広報用リーフレットがアイドル映画を思わせるデザイン(「アーク」と類似している!!)なのが広報としてやや失敗。年配層が遠慮してしまうがな。まあ結論は主人公に感情移入できるタイムマシン+人口冬眠映画。わかりやすい勧善懲悪的な進行も少しだが入っており、飽きさせない。あとこの映画は有料パンフ買ってもいいかもね。グッズはいらないけども。映画は娯楽。それを感じさせる映画。ただ、前半の主人公の住居から一切合切持ち出すのは明らかに住居不法侵入と窃盗で逮捕だよなぁ、いくら権利が移ったとはいえ執行官のつかない単なる略奪はいただけない。でも観客多くはないのでカップルにも老若男女にもオススメできる。【iPad使いにくいなぁ、もう!あとは尻切れトンボです。】それでも、元婚約者の変わり様や、「3億円事件」の犯人が逮捕されているのも史実の書き換えでご愛嬌。
山崎賢人、清原果耶

満塁本塁打
満塁本塁打さんのコメント
2021年6月29日

3億円事件もごもっともですねぇ。

満塁本塁打
満塁本塁打さんのコメント
2021年6月29日

コメントありがとうございました😊😭😭この映画人間関係と会社の設立関係がめんどくさいのでパンフレットは買っても正解かと思います。とても作品中では読み取れません。ただ原作となると労力が無駄なのでパンフレット正解かと思います。

満塁本塁打
hiroさんのコメント
2021年6月29日

わたしは、3億円の犯人が捕まっているのを「これはフィクションなので、現実よりも未来の技術が発展しています」と、いう制作側の注釈と感じました!

パンフレット買えばよかった!(映画館が閑散としててスタッフがいなくて)。明日地元の映画館で買いにいってきます!

映画館がってパンフレットまでがパッケージですよね〜!

hiro
満塁本塁打さんのコメント
2021年6月27日

コメントありがとうございます😊😭原作を精読されている方でないとわからないですねぇ。勉強になります。当方も安直に「有料のパンフレット」は精読したのですが、それではダメですねぇ。ありがとうございます。

満塁本塁打
pipiさんのコメント
2021年6月27日

「冷凍睡眠」の蘇生成功率は100%ではありません。長期になればなるほど危険は増し、30年後の場合は7割の成功率です。
申し込み者は、契約の段階で「全財産」の投資方法を決めておく(株を買ったり信託投資したり)のと同時に、万が一、蘇生に失敗した場合の「財産の処理方法」を決めておきます。

これがローリスクローリターン、ハイリスクハイリターンになってまして、
「自分が死んだ場合、全財産が冷凍睡眠保険会社のものになる」を選びますと「自分が無事に蘇生した場合、自分と同じ契約条件の人物が死んだ時に、その財産を受け取れる」(つまり財産が2倍になる)という最高条件の選択が可能になります。
普通は遺族などへの分配もありますから「全財産を保険会社に」という客は少ないわけで、もう少しローリスクローリターンの選択をする契約者が大半というわけです。

また、ヒロインは当初も死んでいません。
主人公が30年前から時間をループするのが「真実の歴史」であり、歴史が変わったわけではないんです。
墓を作ったのは、ヒロインを幼女にした佐藤太郎(原田泰造)が、悪者の松下(眞島)白石(夏菜)の2人を失脚させるまでは、ヒロインの生存を悟られないようにする為でしょう。

主人公は「璃子が成人したら株券を譲渡する」手続きをしておきますが、松下達にバレたら、奪われるに違いありません。
ですから「松下璃子」という墓を作ってカモフラージュしています。
実際の戸籍は「佐藤璃子」になってるわけなので、どれだけ松下姓で調べても発見出来ないです。

原作では「璃子は松下に養育されているけれど実は養子縁組はしておらず、戸籍上は両親が亡くなった時に祖母の戸籍に入れてある」という設定があり、松下に気付かれずに「祖母の戸籍→佐藤家との養子縁組」を実行する訳です。
(原作では、松下と璃子は血縁ではなく、松下の前妻(故人)の連れ子が璃子なんです。主人公と璃子の父の間にも関係はなく、松下と主人公が親友同士なので、主人公の徴兵時に璃子がピートを預かってくれていた。
松下は根っからの悪人ではなく、主人公を罠に嵌めたのは、白石にたぶらかされた為。となっています。)

pipi
満塁本塁打さんのコメント
2021年6月26日

冬眠じゃなくて「冷凍睡眠」だそうです。「冷凍睡眠保険」って概念がよくわからないです。どこから利益が出るのでしょう。   本人

満塁本塁打