「彼には実質30年、体感7日、彼女には数時間ぶりの「ごめんね」」夏への扉 キミのいる未来へ フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
彼には実質30年、体感7日、彼女には数時間ぶりの「ごめんね」
17歳の妹と年の差を埋める話
タイムトラベル作品は良作が多い
だれもが変えたい過去があり叶えたい未来があるから惹きつけられる永遠のテーマだ。
最近の名作だと「テネット」が時間系の映画では記憶に新しい。
時間を遡り、未来を変える。でも今の自分が居るってことは未来は変わらない訳で…
本作はSF作家ロバート・A・ハインラインの原作を日本アレンジした作品。
どんなストーリーなのか気になったので鑑賞してみました。
期待半分不安半分といった感じでしたが、不安が的中!
トホホとしか言いようのない気分になりました。
山崎賢人の顔とか人柄は嫌いじゃないけれど、自分が見たことある彼の出てる映画って言っちゃ悪いが駄作しかない。
演技とかはいいと思うんだけどな~、作品に恵まれてないのか、私と作品の相性が良くないのか、つまらないのが多い印象だ。
今作は大分昔のSF小説を現代?にリメイクしたそうだが、原作SFの古臭さが消しきれてない。
原作は1957年に出てるから当時としては素晴らしいと思うし、原作の設定に不満が有るわけではない。
タイムスリップ系の話は時代とともに進歩して色んな仮説、解釈が生まれ、多岐にわたる。
過去と未来が一直線の説と過去と未来が無限に分岐している平行線の説が有るけれども最近は平行世界が主流の考えだ。
「夏への扉」は直線説で物語がすすむ。
ターミネーターとかバックトゥザフューチャーの様に80年代公開ならば違和感なかったけれど、このストーリーを現代でやるのはいささか無理があるのではないだろうか。
本作を見ていて感じたのは「ターミネーター」と「トータルリコール」の雰囲気。
コールドスリープとかアンドロイド、無限電池とかSF古典って感じです。
なんとなく「トータルリコール」の雰囲気を勝手に感じてたんですが、美人秘書の夏菜が出てきたあたりから彼女がシャロンストーンにしか見えないくなってて、怪しいなぁなんて思ってたら案の定。
それ以外にも微妙に変えてはいるのだけれど、「トータルリコール」の雰囲気が漂う。
太った夏菜とか受付嬢の不気味さとか…どれも頑張ってるんだけれど「トータルリコール」に負けてるんだよなぁ。
90年公開のSF超大作「トータルリコール」と比べるのは変かもですが、現代の技術や発想力って衰えてしまったのかと悲しくなります。
本作の未来は2025年だからさほど今と変わってない生活なのだろうとは思いますが、もっと制作側の遊び心とか挑戦とか見たかったですよ。
誰でも考え付く未来の生活なんてみてもなんもワクワクしないんですよね。
無限電池で化学とか生活は飛躍的に発展するって劇中でも言ってるんだから、もっとその恩恵にあやかった未来を見せてほしかったです。未来はそんな変わらないってのが逆にリアルだったのかもしれないけれど。
役者の方々はいい演技だったとおもいますよ、特に藤木直人さん、ロボット役頑張ってましたね、「AI」のジュード・ロウを想起させてくれましたし、目に命が宿ってない感がよかったっです。
原田泰造のお人好し感とかよかったです、依頼を完遂する信頼性のある顔でいした。
まあ、ストーリー的に未来がわかってるから裏切られる心配はないのだけれど…
ほめれる所はそのぐらいかな、それ以外にいいところを見つけられませんでした。
ストーリーは未来行って過去行って未来に戻る話なわけですが、結局自分を救っていたのは~って話。
原作が古いのは仕方ないとして、古典を古典のままやってどうすんの?もうちょいアレンジできなかったのか?
舞台を現代にしたから満足なのだろうか、それで満足ならあまりに志が低くないですか?
少なくとも80~90年代の映画はもっとまだ見ぬ未来を夢見て創造に心血を注いでいいたと思うし、ほとんどの近未来SF映画って独自の未来アイテムとか出してくるものだとおもってたけれど、本作にはそんなものは無い。
未来なんだから超化学でなんでも出来るんだーって自由に発想できたのはいまや昔の話のようですね。自由な未来の話がしたいのに昔し話になるとは…
原作発行が1957年で内容は「1970年の男が2000年に行く」話みたいですね。発行時の未来とそのまた未来を描くなんて。作者はなんて凄まじい発想の持ち主なのだろうかと脱帽してしまいます。
それに比べてなんですかこの映画は!
「1995年の男が2025年に行く」話って、ちょっと昔とちょっと未来を映像化しただけじゃん、撮影しやすい以外の何物でもないですよねこの脚本。予算とか都合とかが有るのはわかるけれど、どうあがいても約70年も昔の原作を超える事は出来ない映画です。悲しいなぁ。
文句や不満は一ぱいありますが、これ以上書くのもなんなので省略。
一番大事で一番納得いかないことが有ります。
わかってる方がらしたらそんなことも理解しないでこんな文句ばっか書いてたのかよ!っと思われそうで恥ずかしい…
{なんで山崎賢人は清原果耶を救ったあとにもい一度コールドスリープに入ったの?}
この理由がわからないのです。
あのまま1995年に残ってても問題ないと思うのですけれど。
いくら考えても私の粗末な脳では答えが出ませんでした。
妹と同い年になって結婚するため以外考え付かないのは私の思考が狭くて皮肉れてるからなのだろうか。
だれか親切な方教えていただけたら幸いです。
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劇中セリフより
「夏しかなくても、きっと冬への扉を探すと思うよ」
もしそう考えてるとしたら年中扉開けて回るんじゃね?
その姿はカッコいいのか、哀れなのか。
原作では、30年後の世界にて半年間苦労し、戸籍、市民番号、納税、社会保険、財産管理などなど合法的にきちんとした身分証明が揃い、仕事などの生活基盤も整っています。
ですから戻ってくる事を前提として過去にとび、再度冷凍睡眠に入る前は「最初に目覚める予定だった日時の半年後」に契約を変更してから眠ります。
それに、元の時間に留まっていては、いつ松下&白井に気付かれるかわかりません。
璃子の生存も気付かれては、璃子に危険が迫ります。彼女を守る為にも自分はこの時代にて活動しない方が望ましいのです。
また、30年後の世界では、冷凍睡眠中の1987年に世界的な経済恐慌が起こり冷凍睡眠会社の保険機構が潰れていて、この会社の冷凍睡眠から目覚めた人達は全財産を失っています。
ですから、戻った過去では財産を銀行証券に変えて璃子が21歳になった時に譲渡されるように手配を済ませ、冷凍睡眠前に、覚醒日変更と同時に、保険会社に財産投資するはずだった契約の部分は取りやめています。
また、璃子についても本人の自由意思に任せる為に「21歳を過ぎた時に、まだどうしてもボクとピート(猫の方)に会いたい気持ちが変わっていなかったなら、この冷凍睡眠会社でこの日付けに目覚めるようにすれば必ず会える」と伝え、詳細は手紙にして渡します。
璃子のこれからの10年間に、自分(主人公)よりもっと大切な事が出来たなら、それを優先して欲しい、と考えているのです。
そして、目覚めたあと、璃子との約束の場所に行ってみたら、璃子は主人公の言う通り冷凍睡眠に入っていますが「たった一つだけ、言う通りにしていない事」があります。これがまた胸熱ポイントなのですが、ネタバレせずにおきますね。ご興味がおありでしたらご一読下さいませ。
映画の尺では、これだけの情報を盛り込むと、ややこしくなりストーリーが希薄になるだけですから、本作の構成程度で正解だと感じました。