劇場公開日 2020年9月11日

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「Brazilがうんだ稀代のRock Star」マイ・バッハ 不屈のピアニスト h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0Brazilがうんだ稀代のRock Star

2020年9月11日
iPhoneアプリから投稿

「アートとは誰かの心に傷をつけること」。社会学者の宮台真司氏はいう。

まさにJoão Carlos Martinsのperformanceは映像と演奏を通して観客の心に傷をつける。
彼の演奏する音楽はクラッシック音楽だが、彼の生きかたはRockだとしかいいようがない。

天才であればあるほど、ちょっとした細部のズレに神経を尖らすもの。彼の場合は度重なる不運(自業自得の感もあるのがご愛嬌)にもかかわらず、不条理と彼に襲いかかるハンデをバネに跳ね返すくらいのperformanceを披露する。暗くなりがちなストーリーを明るく魅力的にみせるのは、彼のキャラクターの魅力。

壮年期のGoldberg-Variationensは若い頃のテクニックバリバリの演奏の勢いはないが、彼が歩んできた人生の重みと想いが指先一本一本に込められ、それはそれでまた違う味わい深さがある。

作品中の演奏はJoão Carlos Martins本人の演奏。今もまだまだご活躍の様子。

atsushi