「ズボンは魔法」カラミティ せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
ズボンは魔法
西部開拓時代のアメリカで、西へ行く旅団に加わっていた一家の父が怪我により馬を操れなくなったため、代わりに家族を支えるため少女が成長していくも、女であることの制約に悩まされる話。
映画の中で女性がコルセットやブラ、日本だったら帯を締める描写があるとき、それは女性の社会的な制約や抑圧の表現として使われることがほとんど。でも今作は全く逆の「解放」の意味として表現されてるように感じた。
そもそも「締める」という行為、男性はベルトを締めることでズボンを固定して作業をしやすくしてる反面、女性のコルセットは体を綺麗に見せるために締めるので作業には全く向いてない。「締める」行為が女性にとっても、実用性にかなったものであるべきなのは当然。
なので、マーサが馬に乗るようになってからズボンを履く時にベルトを締めるシーンがあったり、泥棒の手がかりを探りに行くために敢えて女性の格好をするシーンでコルセットを締められている。どちらも誰かのためでなく自分自身の目的のために締めている行為なので、抑圧というよりマーサが行動を起こすターニングポイントになってるのかなと思った。
今作そういう女性側の話だけではなく、男性側の描き方も良かった。男性中心的社会は一部の特権的な男性しか救わないということが、ある人の魔法のアイテムが象徴しててよかった。
自分もマーサと同じように、可愛いとチヤホヤされて大事に守られるより、皆に頼られたり仕事ができると褒められたりする方が何倍も嬉しい。
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