ブルータル・ジャスティスのレビュー・感想・評価
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邦題は、ちょっとおかしいかな。
邦題、と言っても、カナダのフランス語圏のタイトルが「ジュスティス・ブルタル」なので、日本独自というわけでもなさそうだが、決して「野蛮な正義」の物語ではない。むしろ野蛮な刑事たちが私利のために「正義」から逸脱する姿を描いており、その一方で、彼らは正義をすべて捨てらることはできないと、どこかで線を引こうとする。その試みは決して「野蛮」ではない。やはり「コンクリの上を引きずられて」とでも訳すべきか、原題のイメージの方が作品の印象に近い。
と重箱の隅のような話をしてしまったが、S・クレイグ・ザラー監督だから「野蛮」な残虐描写は本当にどうかしているし、同じくらい日常のなにげない描写に力を注いでいるのも相変わらずだ。そこに優劣を付けたりせず、映画の常道に頼って過剰に面白く見せようとしていないのもいい。「よくできた映画」はそれはそれで魅力があるし楽しいのだが、ザラーの「よくできた」なんてウソっぽくね?とでも言いたげな無骨なリアルへのアプローチは、映画を新しく捉え直す時代の流れの最先端だと感じている。
愚か者たちへの挽歌 リッグズ刑事の末路
「トマホーク」、「デンジャラスプリズン」と次々と傑作を世に出している監督の最新作。やはり相変わらず話運びはスローペースながらも随所に工夫が凝らされていて全く飽きさせない。いやあ、この監督の作品は一度はまると癖になる。
リーサルウェポンのリッグズ刑事やダーティハリーのキャラハン刑事は検挙率がいくら高くても強引すぎる捜査手法でただでさえ警察内部では厄介者だったのが、このスマホカメラが普及した現代ではなおさら肩身の狭い思いをすることになるんだろう。
実際本作の主人公リッジマンはいきなり麻薬の売人を逮捕しながらもその際の映像を撮影されて謹慎を食らってしまう。警察も今や人種差別への批判を何よりも恐れている。
妻は病気を抱え、娘が通学路で頻繫に襲われるような住環境で暮らすことを余儀なくされる厳しい経済状況の中、リッジマンは危険な賭けに出る。
そんな彼とコンビを組んでいたトニーも恋人と結婚間近ながら彼に渋々付き合う羽目に。
一方、車いすの弟や、売春、ドラッグにおぼれている母親を救うために家族思いのヘンリーは出所したばかりにもかかわらず危険な仕事を請け負うことに。
そして出産を無事終えたものの長い産休のせいで外出恐怖症になっていたエリーは愛する我が子のために勇気を振り絞り職場復帰を果たす。彼女が職場の銀行で手厚い歓迎を受けていた時、この三者の運命が絡み合うことに。そしてその後怒涛の展開を見せる。
ただ麻薬の密売人から金をくすめるつもりだったリッジマンたち、人は殺さず金塊だけを奪うと思って手を貸したヘンリー。しかし首謀者たちは情け容赦なく殺しまくる獣のような冷酷な連中だった。このけだものたちに彼らの運命は思わぬ方向に、まさに原題の通り思いもよらず地獄へと引きずり込まれることになる。
人種差別発言を繰り返すはみだし刑事役にメル・ギブソンを起用するセンスの良さ。他の登場人物たちのキャラもたっている。ビンス・ボーン演じるトニーは何かといえば「アンチョビ」と繰り返すのが可笑しい。かつての不祥事から口癖の差別的なスラングをあえて封印するためなんだろうか。
途中で意味深な登場をしたエリーがあっさり殺される辺りはこの監督がいかにもやりそうなこと。やはり期待を裏切らない。酒屋や若者からはした金盗むために重装備で撃ちまくる黒ずくめの二人もぶっ飛んでいて可笑しい。相変わらず意味があるのかないのかわからないようなとぼけた会話劇も健在。これがこの監督の持ち味なんだよなあ。
この監督の次の作品が待ち遠しい。
イヤな映画だけど面白い。
見始めて、しばらくはよくわからない。
誰が主人公で、何の話なのか。
それが話が進むにつれ、だんだんと眼が離せなくなっていく。
銀行強盗が凶悪で狡猾。
その行いに気分が悪くなる。
クセのある映画だ。
悪事に手を染めてはいけない
悪いことをして、稼ぐなんて考えたらダメだとあらためて思いました。
この映画、面白くないわけではないけど、無駄な描写が多くテンポが悪いです。
さすがにこの内容で2時間半は長いと感じました。
なかなか評価しづらく、何を訴えているか分かりづらいですね。
結局、1人以外は報わらなく、その人も褒められた生き様ではないからなおさらそう思いました。
平凡な映画
斬新な展開もなく、よく練られたドラマもなく、魅せるアクションもない。こんな退屈な映画に名のしれた俳優二人が参加した理由が分からん。まあメル・ギブソンは変な映画にヒョコヒョコ出る人だからそんなオドロキはないけど。ヴィンス・ヴォーンを若者扱いするのはムリじゃないかしらね。人々の人生の交錯を描きたい意気込みは感じたけど、あのザコキャラのように死んでいく人質まで描くのは不要すぎるわ。
寝てしまった(笑)、
レビューを書くまでもなく、長くて途中からいろんな人が出てきて寝てしまった。
暗いなかで銃撃戦になって、誰が誰やらわからんようになり、すでに話についていけず(笑)
見たうちに入らんけど、長いし、また見ることもなかろうけど、一応見た記録のためのレビューとして。
今ひとつわからなかった
2人はあぶ刑事のようなやり取りをしてるんだろうけど、いかんせん字幕ではうまく伝わってこなかった。
そしていくつかの話が断片的にあり、何か繋がらず。
露骨な尾行はお粗末だし、終わり方も微妙。メルギブソンだから評価が高いのかな。個人的には不完全燃焼だった。
評価:3.1
長い・・・けど、観る価値あり。
強盗の上前を横取りしようとする警官と、一攫千金で劣悪な生活から抜け出そうとする青年の苦闘を描く物語。
メル・ギブソン主演のクライムサスペンスです。何気なく観始めましたが、思いのほか秀作でした。
まず登場人物の描写が丁寧で、それに好感。彼等のバックボーンや行動の理由が分かると、それだけ感情移入し易くなります。
逆に、強盗団はまったく素性が明かされず、顔すら隠したままにして不気味さを際立たせることに成功。対比が見事でした。
また、場面々々も丁寧に描写。さりげないやり取りもカットせず、それだけに次の展開が気になりますし、緊迫感も味わうことが出来ました。
ただ、全編で丁寧に作り込まれていた分、上映時間はかなり長くなってしまいました。仕方ない話ですが、少しマイナスに感じてしまいました。
噛めば噛むほど味わいが
全般的に空気感が好きなんですが、悪役描写が容赦なく、あー、これもう緊張感なくならないわーってなりました。
ずっと緊張してる感じで150分超えもそんなに長く感じませんでした。
死んじゃう人も、本当に無惨で恐怖を感じる
人生の成功率のパーセンテージ
S・クレイグ・ザラー監督作品は初見。
噂にたがわず面白い。
基本的には群像劇だが、中盤あたりまではメル・ギブソンとヴィンス・ヴォーンの停職刑事コンビのお話。
車内でのくだらない会話シーンはタランティーノ作品よりも分かりやすくて面白い。
ヴィンスが死ぬ直前に「車に責任はない」と言うあたりはかわいそうだが笑ってしまう。
対照的と言えば対照的だが、強盗団のパシリ運転手をやらされる黒人のヘンリーとビスケットもスリムとマッチョみたいなへんなあだ名つけられてアゴで使われてはいるが、意外にまとも。
結局勝ち残るヘンリーも、約束通り最後まで義理堅い男だった。
だが、ただただ銀行員の人達は浮かばれなさ過ぎ。
出社を渋ったケリーは何が原因だったのか、とても気になる。
人質の女性も結局無駄に死んでるし。
そして1番の謎は、強盗団のブラック・グローブとグレー・グローブ。
コンビニで小銭盗むのにライフル撃ちまくる必要があるのか。
ザラー監督の狙いは彼らをどこに位置してたんだろう。
いや、特に意味はないかな。
ゴアつよめエモーションすくなめ
面白い! まずはただただ面白い!
劇判音楽すくなめで、なんかオフビートなのに熱いっていうか
そんなに変わったことはしてないのに斬新というか。
他の作品には無いオリジナリティがしっかりあって、
さらにしっかり面白いっていう。もう言う事ないんじゃないでしょうか。
この監督の他の作品もぜひ見てみたい。
S・クレイグ・ザラーに完全にハマりました🤤
昨夜は五輪サッカー⚽️ニュージーランド戦の昂りから、目が冴えてしまって寝られそうもなかったので、楽しみに取って置いた「ブルータル・ジャスティス」原題『Dragged Across Concrete』(コンクリの上をひきづられて)を深夜2時まで夜更かしして鑑賞。今さっき、やっと目覚めましたが満足感が半端ねぇ〜🤣
ザラー作品らしく2時間半以上の長尺だけど、またしても登場人物達を丁寧に描き出す、会話の妙と、想像を軽々上回ってくる暴力シーンのアイディア&リアリティ、そしてザラー監督の隠しきれないアウトサイダーズへの興味と、哀愁あるリスペクツ。根底には浪花節が
流れるのに、映像と人物達の乾き物感がたまらなく好きだ😎この3本観て、すっかりザラー教徒なワタシです😂
今、何を撮ってるのかがホント気になりますゼイ😋さっそく調べなくちゃネ💩
アンチョビ
白人も黒人も閉塞感が充満。どん底感をアップデート。
見得を切らない無雑作に及ぶ行為やオフビートな会話は昔のスナッチを思い出した。独特な台詞の応酬は楽しい。
銃撃戦あたりから個々がバラバラの動きを取り始めるが、登場人物に首を傾げる行動もあり若干混乱する。
長い
だらーっとした会話が続き、これはどう言う映画なんだ?
とイマイチ映画に入っていけなかったけど、
張り込みでのタバコのやり取り、食い物のやりとりくらい
から、これってパルプフィクションの地味版?
あるいはリアルなダメ警察のやり取りを
笑う映画なんじゃね?
と考えてからは、そこからは割と楽しめた。
ただそれを分かってても長い。
キャラクター的には面白い事を言っても
相方は突っ込まず、そのまま会話が続くみたいなやり取りは
リアルだけど、もっとズバズバ切って120分以下にまとめて
欲しかった。
最近の展開の早い映画に慣れてしまったからかもしれない
けど、どうしても集中力が続かなかった。
会話劇を見せたり、
銀行員の女性のやり取りを見せてからの強盗シーン、
普通の映画なら乗り込むところを、
金が欲しいから待とうなんてやり取りは
妙にリアリティがあって、
ラストのクライマックスもねちっこく双方動くのを待つ
みたいな展開はとても良かった。
正直長くて序盤から中盤にかけてはかなり集中力を失った
けど、なんか凄い映画を撮りそうな気もする監督だなぁと
興味が湧きました。
マッチョで無骨だけど、何処かポップ
Amazonvideoレンタルで鑑賞。
みんな大好き、暴力の伝道師ことS・クレイグ・ザラー監督最新作で、メル・ギブ演じる刑事が悪党から金を奪う計画を立て、ヴィンス・ヴォーン演じる相棒と実行するというストーリー。
2時間30分以上と冗長な作品で、ぶっちゃけ必要な部分だけ抜き出せば90分くらいで収まりそうなんだけど、ザラー監督が見せたい部分を100%の状態で見せるには、この長さは必須何だろうと思う。
そして、冗長ではあるけど退屈ではなく、むしろ内容的には間延びしてるのに独特な緊張感が続くという演出はさすがザラー監督。
昨年「トマホーク/ガンマンvs食人族」を観て以来だけど、骨太で無骨な作風は相変わらずだった。
タラ、北野武、黒沢清
気に入った。
タラをベースに北野武と黒沢清を足してキリっと仕上げた。
冒頭早朝の締まったブルーの画の心地良さ。
緩急の塩梅の正しさ。
この監督の過去作を見ねば。
年テン上位。劇場で観ねばだった。
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