劇場公開日 2021年2月19日

「予告編で、すでにネタバレしていたこの映画ですが、ネタバレていても、それでも本編で観客をタップリ楽しませてくれます。予告編より本編がおもしろいなんて、今の時代じゃ、けっこう珍しい作品なのかも知れません。」ライアー×ライアー お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0予告編で、すでにネタバレしていたこの映画ですが、ネタバレていても、それでも本編で観客をタップリ楽しませてくれます。予告編より本編がおもしろいなんて、今の時代じゃ、けっこう珍しい作品なのかも知れません。

2021年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

自分の姉が、昔の山姥メイクをしていたのならいざしらず、ちょっとギャルメイクしたからと言って、毎日一緒に住んでいる弟が姉を見間違えるはずがないってことは、常識で考えたって当たり前だと思いますが、それでも「渋谷で姉を他人と勘違いした」という設定でスタートする映画です。

なんともムチャクチャな設定だと思っていましたし、事実、ムチャクチャでした。

弟が自室から「ギャル系の彼女」に電話を掛けて、姉が自分の部屋にドタバタと駆け込んで電話を受ける……って、そのドタバタ音や扉の音や、自分の部屋とは壁一枚しか隔ててないのに、なぜ彼女の秘密が分からないのか。
いやまあこれはそういう映画の設定ですので、きっとこんな点に目くじら立てるほうが野暮なんでしょうけど、無理がありすぎるような気がしました。

しかし、一人二役ではあるものの、その目的が「騙す方向」ではなく、なんとか「弟の誤った愛情」を醒まさせ、相手を傷つけずに別れるための奮闘だったので、こんな話の展開もアリなんたろうなと思え、違和感は演技が進むにつれて徐々に消えて行き、最初からネタバレ系の映画だというのに楽しむことができたので、良かったです。

森七菜は映画の経験が浅く、映画の冒頭のほうでは経験の少なさから来る固さが見え、ちょっとアレアレっと思うシーンがいくつかありました。
ところがどっこい、中盤以降、「演じる楽しさ」に完全に目覚めたようで、一人二役を楽しそうにイキイキと、違和感なく演じ分けており、表情も多彩で急激な成長を見せてくれています。

この映画の経験が、彼女を大きく花開かせたことは間違いないと思いました。

ところで、親が再婚し、連れ子同士が惹かれ合うものの、「姉弟同士で、こんな気持ちを抱いてはいけない」と思う構図は、浜辺美波主演の昨年の実写版「思い、思われ、ふり、ふられ」の構図と、まったく同じです。

こういうのって、最近流行なんでしょうかねぇ?

その無理やりな設定をきちんと演技し尽くし、それぞれ魅力的な作品に仕上げられたという点、両者互角に近いと思えました。
なので、この二人の女優が演技合戦で観客を楽しませる企画を、ぜひ観てみたいものだと思いました。

お水汲み当番