「主演二人のファンなら楽しめます」ライアー×ライアー おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
主演二人のファンなら楽しめます
小学生の姪にせがまれ、多少興味もあったので鑑賞してきました。それほど期待していたわけでもないので、まあ予想どおりの展開かなといった印象でした。
コミックの実写化らしいのですが、原作未読で内容は全く知りません。それでも、何度も予告を観たので、概要はなんとなくわかっていました。親の再婚によって義理の姉弟となった同い年の二人が、互いを異性として意識しつつも、家族としてその思いに蓋をし…という少年少女マンガのあるあるシチュエーションで繰り広げられるラブストーリー。
他の作品と一線を画すのは、ギャルに変装した姉に偶然出会ったイケメンの弟が、相手を姉と知らずに一途に想いを寄せていくというところです。しかし、この設定のラブコメなら、予告を観た段階でオチは予想できるので、見どころはそこに行き着くまでにどれぐらい楽しませてくれるのかというところです。
本作では、主に姉の湊からの視点で語られ、弟の透を疎ましく思いながらも、彼の内面に触れ、少しずつ惹かれていく様子が、親友の真樹とのやりとりや内言を通して丁寧に描かれ、観ているこちらがむずむずするようでした。烏丸くんの存在も二人に揺さぶりをかけるキーマンとしてよく機能していたと思います。ただ、予想を裏切ることなく進むストーリーと、後半にややテンポが落ちることで、もうひと捻りあればなという物足りなさは感じます。
また、これを言い出すと作品が成立しませんが、透が姉に気づかないなんてありえないです。終盤、スマホをきっかけに気づきますが、じゃあなんで今まで気づかなかったのかとツッコミたくなりました。姉の湊も、あのルックスと性格でモテないとかありえません。美男美女が義理の姉弟になったところからお花畑展開は確約されているので、ここにツッコんだら負けなのはわかっているのですが、もう少し説得力があればと思わずにはいられませんでした。
主演の森七菜さんは、序盤の演技こそ多少わざとらしく見えましたが、すでにここから本人も気づかない透への思いがあったとすれば、それも納得できるものでした。中盤以降は、透や烏丸くんに真面目に向き合おうとする姿が、いっそうかわいらしく映りました。透役の松村北斗くんは、笑顔と泣きの演技にはぎこちなさや嘘くささを感じてしまいましたが、感情の乗らないぶっきらぼうな演技はとても自然でよかったと思います。主演の二人のファンなら、無条件に楽しめる作品になっているのではないでしょうか。