劇場公開日 2020年9月4日

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「【現実】」人数の町 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【現実】

2020年9月15日
iPhoneアプリから投稿

フリーメーソン、ディープステート、Qアノン。

人々に知られることなく、社会を、裏で世界を牛耳ったり、大事件を起こしたりすると言われている影の組織だ。

世の中で不必要とされる人間は、どこかに集めて、ちょっとだけ選挙に行くとか役割を与えて、あとは好きに生活させとけば良い。

毎年毎年の行方不明者は、実は行方不明じゃなかったり、もしかしたら、人口のかさ増しに利用されて、選挙票もかさ増しされていたり、考えたら、怖くなるというか、笑えたりもする。

だが、これはある意味、既に現実であるようにも感じる。
人々は、余計なことは考えないで、言われたように振る舞ってくれれば良い。
政治に関心なんか示すな。
政治家の考えそうなことだ。
決して笑って済ませられない現実かもしれない。

AIやロボットがあらゆることをするようになって、人間の役割がなくなったら、僕達はどうするのだろうか。

食べて、寝て、セックスをして、子供は作らず、人口を減らすことによって、コストを減らして、世界は続いていくのだろうか。

ボキャブラリーの少ない幼稚な賞賛や誹謗中傷の書き込み、ゲームに明け暮れる姿は現代的のようであると同時に、表現方法が少なくなっていくように思われるところは、ジョージオーウェルの「1984」にも通じる。

食事、セックスに明け暮れ、欲求を満たすだけで、人は生きていけるのか。

人間の三欲は、食欲、性欲に加え、権力欲(或いは、権力欲)と云うが、最後の場面は、それを示唆しているようでもあり、デフォルメされたシーンは、恐ろしくも感じる。

少し構成に工夫は必要だと思う。また、きっと制作費がなかったんだろうなと気の毒にもなるが、興味深い作品だった。

ワンコ