「エンドロールに向かって小出しにする回想が勿体ない、脱力する様なラストとその先のお金の匂いが気になる」名も無き世界のエンドロール たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
エンドロールに向かって小出しにする回想が勿体ない、脱力する様なラストとその先のお金の匂いが気になる
どうしても邦画でスケールを追求するとアラが目立つが、今作は割とスマートさを感じさせつつ、芯のあるサスペンスに仕上がっていた。
「複雑な」家庭環境からつるむようになった3人だからこそ見ている視点から、ストーリーの大きな芯として機能する。序盤は3人の馴れ初めから関係性を写し出す。高校生に意外と見える岩田剛典と新田真剣佑に、歳の差を感じさせないほど自然な演技を見せる山田杏奈。微笑ましくも皆、どこか掴み所のない闇のようなネガも持っている。リードを小出しにしながら進むので、時系列に多少こんがらがるものの、言葉や挙動の節々が伏線として機能するのが面白い。さらに、登場人物の関係性も複雑に見えないため、割とドラマとしての厚みを生んでいる。モデルとしてのオーラを放つ中村アンも見ごたえがあり、議員の娘らしい天真爛漫ぶりも板についている。そして、ラスト20分の真実。ネタバレは厳禁なので伏せて置くが、割と真実は読める。リードがすぎた点はあるためだ。ただ、ラストまで読めなかった。彼らのバックボーンが上手く機能していることから生まれる、1つの答え。同時にアナザーストーリーへ誘おうとする節があり、消化不良を起こすが、意外と疑問点が少なく、ひとつの作品として仕上がっていた。
シンプルに「出来が良い」一方、物足りなさも感じる。そのモヤモヤを解消したい方には、dTV…ってか笑。そっちの方がもしかすると、上手くオチている。誰かと観て、伏線を確認しながら振り返ると楽しい作品。
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