劇場公開日 2020年10月23日

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「母親不在の場所で一人息子が行方を断つ。心の深い傷は快癒するか?」おもかげ Bon voyageさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0母親不在の場所で一人息子が行方を断つ。心の深い傷は快癒するか?

2020年10月29日
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鑑賞方法:映画館

知的

母親が不在の場所で一人息子が父親に捨てられたか?6歳の息子が父親とはぐれて母に救いを求める声だけが受話器越しに聴こえる。どうやらスペイン寄りのフランスの浜辺らしい。その事件以来10年浜辺の店で働く母親のエレナ。息子がいたら16歳か。バカンスでパリから来た一家の息子ジャンに行方不明の息子の面影を見るエレナ。ジャンは赤の他人であっても、我が子の成長の姿を重ねる。ジャンの行動の一つ一つが興味深く気になる。エレナにとり男女間の恋愛感情は生じないが16歳の少年は次第にエレナに惹かれて行くのはオトナの女性への興味と憧憬もあるだろう。ジャンの家族は息子を誘惑し堕落させるエレナを敵視し二人を会わせないように方策を講じる。感情の行き違いはMAX。恋人とやり直そうと引っ越し作業の真っ最中にジャンから一人で道に迷った、とSOSの着信。恋人を振り切り10年前の二の舞は踏まないとジャンの元へ急行する。発見した。エレナは狂喜乱舞。やっと母親の役割を果たし深い傷は癒えるか?たぶんこうして少しずつ気持ちにケリをつけていくのではないか?恋人はエレナを理解し深く愛している、しかし、エレナの心的外傷は自分でしか治癒できないのだ。ラスト、元夫に自ら電話をしたのは彼を許すことで自分の囚われている柵を解放しようとしているのではないか?

Bon voyage