FLEE フリーのレビュー・感想・評価
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ジャン・クロード・ヴァンダム
序盤こそa~haのテイク・オン・ミーが流れ軽快な雰囲気で始まるが、そこからの人生がひたすら重く辛い理不尽な描写が続く
アフガン難民という言葉はニュースで聞いてはいたが、実際の内情はわからずこのような映画で現実を知る
とにかく過酷で悲惨、辛すぎる⤵️
とりあえずロシア警察がクソ!!
アフガニスタンから辛くも亡命した1人の青年とその家族の苦難、そしてその先に広がる未来に寄り添う優しいにも程がある前代未聞のドキュメンタリーアニメーション
先のオスカーで国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞の3部門ノミネートされたという報道で一体どんな作品なのかと激しく興味をそそられましたが、祖国アフガニスタンからデンマークに亡命した青年アミンの実体験を描いたドキュメンタリーながら本人の素性を隠すために映像を全部アニメに置き換えたもの。フェイスダブルという技術を使って登場人物の顔を全く別人のものに変換した『チェチェンへようこそ ゲイの粛清』とは異なるアプローチで画期的。アミンとその家族が体験する苦難は現実のものとは思えないほど壮絶ですが、それゆえにさまざまな出会いと別れを経て最後に訪れる全てを包み込むかのような穏やかな静寂が胸に沁みます。
キーワードはa-ha、Roxette、ジャン=クロード・ヴァン・ダム、チャック・ノリス・・・自分の部屋に『ブラッドスポーツ』と『地獄のコマンド』のポスター貼っている少年なんてナイスガイに決まっています。もちろん私も『地獄のコマンド』Tシャツを持ってます。
純粋たるアニメ枠ではないので注意。人を選ぶが対抗以上。
今年164本目(合計440本目/今月(2022年6月度)11本目)。
まず、予告編などからするとアニメのイメージを受けますが、これはここの特集や公式サイト(海外)にあるように「本人特定を避けるため」であるようです。このことは「この物語はストーリーに基づくが人物や状況設定など変えている」とあるように、扱う問題が難民問題とLGBTというセンシティブな問題だけに、こうならざるを得なかったのでしょう。特に本人特定につながる情報に関しては、家族がまだいる(映画内でも明かされる)ことも考えると、うかつに実話ものですってあれもこれも書くことはできないからです。
一方でストーリー「それ自体は」史実のもので、ソ連崩壊後のマクドナルドが出てきたり(もっとも、ウクライナ侵攻を受けてマクドナルドが現ロシアで営業を取りやめたり、ある意味皮肉な一面もあるが…)、大筋においてあることないことは変えていないはずです。
この難民問題も結局はロシアが引き起こしているので(映画参照/1979年の旧ソ連のアフガニスタン侵攻)、まぁそれも考えると「どれだけ迷惑かけている国家なんだ」とは思いますが、「国のトップや思想」には問題はあっても、無関係な市民や文化をたたくのは違いますしね(これをもって、たとえば新潟や北海道に定住者が多いとされるロシア人をみんなでたたき出す、というのがおかしいというのは当然の話)。
難民問題は日本ではこのような形で描かれることは少なく(日本が島国であることによる)、このようにトラックだの闇業者だのに大金を払って国境を超えるということは日本では考えられない(そもそも考えにくい)のですが、当然それは日本や台湾(便宜上の国扱い)など、「ごく一部の島国」がそうであるからにすぎず、当然、圧倒的大多数の国ではこのような方法で人々は理不尽な侵略から逃れ難民化しているのです。
気になった点として、受け入れるべきであろう、それも1980~という、今から(2022年基準)40年前としても、「ソ連(現ロシア)ほどに人権感覚が支離滅裂ではなかろう」と思われる国(スウェーデン、ノルウェーなど)の扱いがひどく(この部分も当時の動画が残っているが、とても40年前とは言えども人のやることではない)、ちょっとそこもどうなのか…というところです(もっとも、この映画はどう解してもそれらスウェーデンたたきをする映画ではない)。
日本には日本で難民問題を抱えており(映画としては「マイスモールランド」など)、それをどう考えるのは日本人(便宜上、当事者など広く含む)の総意に基づくもので、他国の大きな侵略がきっかけで日本に大挙して押し寄せたというのは、あまりありません(第二次世界大戦中や後の混乱期など特有なものは除く。この代表例が「スープとイデオロギー」における「済州4・3事件」や「麗水・順天事件」など)。これに対し、陸続きの大陸ではむしろこういったもの(特にソ連(現ロシア)やISISなどの支離滅裂なふるまいで発生した難民)が圧倒的多数を占めます。
日本ではNHKニュースで報じられる程度ですが、こうした「類型の違う難民の考え方」にもアンテナを張っておかなければ…という、将来、外国人問題を扱いたい行政書士試験合格者からの目線でした。
採点にあたっては、特に減点すべき点はないので、フルスコアにしています。
故郷の定義とか考えたことも無かった
アカデミー賞受賞作品だけど、映画で観る価値は無かった。
そもそもアニメーションを媒体としているならアニメーションでしか表現が出来ない描写があるからだと思うのに、これは実写で事足りてしまう。
自分語りで、他国へ亡命した話を90分近く聞くのは、自分の身近でない世界の常識を紹介されている様で親近感が湧かなかった。
史実なのだから、淡々と黙々と話は進む物だと言われたらそれまでだが、結局のところこれを観て何を得ろと言うのか。
お兄さんが理解のある人で良かったと思ったことしか印象にない。
他人に起こった不幸な話なんて、所詮は他人事でしかない。
それを我が事の様に感じて、追体験して自分の人生に反映していくのが映画を嗜む醍醐味なのに、その魅力が全く受け取れなかったのがただただ残念だった。
ノマドランドもカモンカモンもFreeも琴線に触れなかった。
今後公開の
わたしは、最悪。
もどうなんだろう。
単純にこの手の作品が自分と合わないだけなのか。
見識が狭いから受け取る物も少ないのか。
果たして。
【性的マイノリティ且つ社会的弱者でもあるアフガニスタン難民に対し、不寛容な態度で接した国、民に対し監督、制作陣が激しい怒りと悲しみを叩きつけた作品。アニメーションの使い方が絶妙な作品でもある。】
ー 冒頭テロップで流れる言葉。”この物語は事実である。だが、本人及び関係者の安全を鑑み・・”
このテロップだけで、観る側は、これから描かれる物語が、現在進行形である事を察する。-
■アフガニスタンで過ごす、幼きアミン(仮名)は、アフガニスタン内戦により、その人生を大きく狂わされていく。
政府は、彼の父を反政府勢力としてみなし、連れ去り、残された母、兄、姉と共に、命懸けで祖国を脱出する・・。
そして、それは彼の長きに亘る難民としての始まりであった。
◆感想
・愚かしき政府(現代で言えば、シリアが代表の一つであろう。そのために、多くのクルドの民が難民になっている事は周知の事実である。)の行為により犠牲になるのは、いつの世でも無辜なる民である。
・アミンやその家族が追いやられる過酷な姿は、観ていてキツイ。だが、この話はアニメーション化されているが事実なのである。
・一度は酷い環境の小舟で逃れるも、彼らは拿捕されて、再びロシアに戻されるアミン達。
ー 監督自身が、ロシアで経験したからであろう。今作では、ロシアの愚かしき警察官たちの弱者に対する様々な行為が描かれている。ー
・漸く、アミンのみが安全に海外に脱出する。(兄たちは、金が無くて留まる・・。)
■異国のデンマークに到着した彼は、長年秘めていた想いを叔父に告げる。
この際の、叔父の行為が染みる。娼婦宿に連れて行ったと思ったら、そこはゲイが集まる場であった。久方ぶりに見たアミンの笑顔。
そう。世界には同性愛を容認する国が、多数あるのである。
■登場人物たちの身の安全を考えた末の、アニメーションの使い方も、観る側に的確にメッセージを伝えている。
前半は、ダークな色調でアミン達が、決死の思いで祖国を脱出する姿を描き、後半、デンマークに到着してからは、明るいトーンの比率が高くなる。
アミンの心象を色彩や画のトーンで伝える手法の見事さよ。
<この作品は、決して遠くの異国アフガニスタンで起こった事だけを描いている訳ではない。
難民に対する接し方や、性的マイノリティの方々の対する法制度を含めた対応状況など。
現代日本でも、クルドの難民たちに対する出入国管理局の愚かしき行為や、同性婚や夫婦別姓を認めない政府、市区町村の多さを観れば、対岸の火事ではない事が良く分かる。
今作は又、アミンが潜り抜けて来た困難な生き方を通して、自由とアイデンティティの大切さを観る側に問いかけてくる作品でもある。
アミンが漸く手に入れた安穏の日々が、末永く続く事を祈りたい。>
アニメになって過酷さが伝わらない
アフガニスタンのカブールで、アミンの父はタリバンに連行されたまま戻らず、残された家族とともに、アミンは生まれ育ったアフガニスタンから脱出した。その後、家族とも離れ離れとなったアミンは、数年後デンマークへ亡命した。研究者として成功を収め、ゲイをオープンにし恋人の男性と結婚しようとしていた。そんなアミンには、恋人にも話していない20年以上も心に抱え続けていた過酷な過去があった。それを語るというドキュメンタリーアニメ。
主人公、周りの人たちの安全を守るためアニメにし、名前や場所も一部変更したようだが、何をそんなに恐れているのかよくわからなかった。アニメにして過酷さが伝わらなかったのか、過去を語るスタイルがイマイチなのか、とにかくこれじゃあなあ、って感想。
危機感も感じなかったし、BLのエロさもないし、何を感じれば良いのかわからない。合わなかった。
発音の似てる、flee(逃げる)、free(自由な)、flea(蚤)の英単語の違いを学ぶキッカケにはなった。
その勇気の重みを読み取る想像力が試される
1979年の旧ソ連によるアフガニスタン侵攻で激増したアフガニスタン難民は、近年でも約260万人(外務省サイト)、あるいは273万人(2020年、UNHCR)にのぼるそうだ。その中のひとりである実在の人物アミンの体験談が、本人の安全のためアニメーションで描かれる。あくまでドキュメンタリーであり、80年代から90年代当時の実写記録映像も多用される。
この作品は2021年に製作されているが、奇しくも今年ウクライナがロシアの侵攻を受けてから、ウクライナの人々が祖国を追われるさまを、報道の映像で多く見てきた。ニュース番組などで毎日のように接しているうちに、こちらがつらくて耐えられなくなるほどだった。その理由のひとつは、あまりに理不尽な蛮行が実力行使で堂々とまかり通っている、それが見るに耐えないこと。もうひとつは、自分の想像力が彼らの過酷な状況に到底追いつかないことだった。
そうした映像体験を経て四半世紀以上前の出来事を描いた本作を観ると、結局同じようなことが昔から繰り返されているのだという思いに至る。誰もがスマホのカメラで撮影する時代になったので、生々しい映像が増えた分インパクトの強い出来事のように錯覚するが、悲惨さは変わらないはずだ。アニメという表現方法は個人の特定を防ぐだけでなく、良くも悪くも描写のえぐみを抜くが、私の脳裏にはその部分の想像を補うものとして、報道されたウクライナの人々の姿が浮かんだ。
政治情勢に翻弄された人たちの過酷な状況をアニメで描いた作品としては、個人的には「トゥルーノース」のインパクトが忘れられない。この作品は生存者の証言を参考に作られているが、監督の信条でエンタメ的展開も組み込まれている。物語に揺さぶられると、作品の本来のメッセージも心に刺さりやすくなる。
本作はドキュメンタリーなので、そこまで都合よくこちらの感情を揺さぶる展開はない。
アニメは美しいが実写の生々しさはないし、モノクロのラフ画のような描写が用いられる部分もあるし、彼が本来の目的地と違うデンマークへ亡命してから研究者として身を落ち着けるまでの経緯の描写は省かれている。
また、彼は自分がゲイであることを打ち明けるくだりは、フィクションだったなら故郷を追われたことと性的嗜好とからくる二重の疎外感に苛まれる分かりやすい描写がありそうなものだが、この点は割とさらっと解決する。
「FLEE」(〈危険などから〉逃れる、〈安全な場所に〉避難する)という直球のタイトル通り、具体的描写の重点はあくまで逃亡生活の部分に置かれている印象だ。
アニメによって和らげられた部分、逃走描写以外の背景の細部は、観客の知識と想像力に委ねられている。リテラシーが試される作品のように思えた。
故郷とはずっといてもいい場所、自分の存在を拒否されない場所。生まれ育った地への思いを封印してそのような考えに至るまでに、どれほどの苦悩があっただろうか。
監督が幼馴染であり、アニメで容貌が隠されるとはいえ、特定されれば身に危険が及びかねない逃亡の現実を告白する決心へと、どんな思いが彼を突き動かしたのだろうか。
彼のような人間が作品に「出演」し(声は本人)秘密を告白する勇気の重さこそが、本作の凄みだとも言える。いわば犠牲者とも言える彼にそこまでしなければならないと思わせる、問題の複雑さと根深さを考えさせられた。
アニメーションという手法は正しかったのか?
生まれ育った国に住み続けることができず、命の危険を冒しながら国々を転々とする難民の苦難は、見ているだけで身につまされる。
ただ、主として描かれるのは、難民となる原因を作ったイスラム政権の圧政の状況ではなく、経由国となるロシアの警官の悪逆さや、密入国業者の非人間性のほう。難民に対する差別や無理解を訴えたり、難民の受け入れを拒む国を非難するといった政治的なメッセージもない。
そもそも、アニメーションという手法は適切だったのだろうか?登場人物の匿名性を確保するためということであるが、それなら、再現ドラマでも十分可能だっただろう。実写だと見るに耐えないような残酷で凄惨なシーンでも、アニメなら表現することができるが、この映画に、そのような場面は出てこない。
アニメーションの技術的なレベルも、残念ながら、それ程高いとは思えない。それどころか、かえってストーリーの流れを遮り、インパクトを薄めてしまっているとも感じられるのである。
想像を絶するとはこの事
なぜ若くしてここまで過酷な経験をしなければならないのか、産まれた国が違うだけでこんなにも差が生まれるのか、、ニュースや授業で垣間見る外の世界の悲惨な話、わかっているようでなにもわかっていなかった、この映画を見てまずそう感じた。あまりに衝撃的で言葉が出ず、終始口が開けっ放し、背筋が凍る。もし自分が主人公と同じ立場なら?間違った選択をしていたかもしれない、そう思わずにはいられないほどの過酷な状況。それでも、この主人公がより良い状況を求め真っ当に生きているのは、なによりも家族の愛があったからだと思う。この映画は悲惨な状況下と同時に強い愛が描かれている。その愛は主人公のすぐそばに当たり前のようにあり、どんな事が起きても壊れない。本当の絶望と本当の希望を同時に見せつけられた感じ。とにかく心に残る1本だった。
重厚で見事なアニメーション・ドキュメンタリー映画
オンライン試写会にて鑑賞。
素朴な雰囲気で描かれたアニメーションだが、この映画で綴られる人生の壮絶な闘い。しかし、その闘いというのは「力」によるものでなく、長年に亘る「沈黙」で闘ってきたアミンという青年の独白で語られる。
そして、その青年アミンの独白している中で、独白内容にマッチした実写フィルムが挿入されるので迫真の説得力を持つ映画となっている。これも凄い!
アフガニスタンで生まれ育った少年アミンとその家族が日常生活を送っていたところ、タリバンに連行された父親が戻らないため、残された家族は命がけで祖国を脱出しようとする。この亡命が想像を絶する辛苦を要するもの…。
家族は離ればなれになりながらも、青年アミンはデンマークに亡命することになるが、アミンは女性に魅力を感じないゲイであることにも悩む。
そして、………といった「命を賭けた物語」が綴られる。
序盤で流れるa-haの名曲「♪Take on me」で心安らぎ、あの名曲のMusic Video風のアニメーションが描かれたりするあたりは、少年アミンの青春を描いている。これは、その後の運命の過酷さと対比するかのような名場面だと思う。
本当に重厚で見事なアニメーション・ドキュメンタリー映画であったと思う。
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