「事実を受け止めやすい」FLEE フリー コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
事実を受け止めやすい
アフガニスタン難民だったある青年の個人史ドキュメンタリー。
未だ青年が本名を名乗れないほどアフガンは危ないとのことで、身を隠すために選んだアニメーションという手法のおかげで、残酷すぎるシーンは『トゥルー・ノース』同様にまろやかになり、さらにはそれでも描けないほどの非道な行為はモノクロの抽象画っぽい線で描かれていたのが、事実を受け止める上では効果的でした。
『カブールのツバメ』『ブレッドウィナー/生きのびるために』『ミッドナイト・トラベラー』と併せて観たいですね。
アフガニスタンで半世紀にわたって起こっている戦争の恐ろしさと、イスラム原理主義が幅を利かせる中で性的マイノリティが生きていくことの過酷さがわかる作品でした。
また、今のソ連をロシアに置き換えると、ウクライナ(特にロシアの占領地域)のことに思い至り、似たようなことが起きているのであろうかと胸が痛くなりました。
作中、デンマークへと亡命するルートにウクライナの飛行場があり、その辺で胸が詰まってしまいました。
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