「アニメーションという手法は正しかったのか?」FLEE フリー tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメーションという手法は正しかったのか?
生まれ育った国に住み続けることができず、命の危険を冒しながら国々を転々とする難民の苦難は、見ているだけで身につまされる。
ただ、主として描かれるのは、難民となる原因を作ったイスラム政権の圧政の状況ではなく、経由国となるロシアの警官の悪逆さや、密入国業者の非人間性のほう。難民に対する差別や無理解を訴えたり、難民の受け入れを拒む国を非難するといった政治的なメッセージもない。
そもそも、アニメーションという手法は適切だったのだろうか?登場人物の匿名性を確保するためということであるが、それなら、再現ドラマでも十分可能だっただろう。実写だと見るに耐えないような残酷で凄惨なシーンでも、アニメなら表現することができるが、この映画に、そのような場面は出てこない。
アニメーションの技術的なレベルも、残念ながら、それ程高いとは思えない。それどころか、かえってストーリーの流れを遮り、インパクトを薄めてしまっているとも感じられるのである。
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